聖地未来相談室

 エトワールとして、日々走り回って頑張るエンジュの姿はかつての金の髪の女王や栗色の髪の女王が女王候補だった頃を思い出させる。
「何だか、懐かしいなぁ〜」
「爺むせー」
「何だと、ゼフェル!」
 まぁ、こういう変わらない光景もあるわけだが。そんな二人を見ながらも、マルセルは浮かない顔ばかり。
「でもさぁ、僕、かなり不安なんだけど……」
 マルセルの言葉にランディとゼフェルの諍いがピタリと止まる。
「不安って、何がだよ?」
「着々とあっちの宇宙の守護聖は集まってるだろう?」
 二人の言葉にマルセルは軽く肩をすくめ、溜め息をついた。
「二人はまだいいよ。向こうの守護聖はユーイとか、エルンストとかだもん。僕なんか、セイランが緑の守護聖なんだよ……。僕、あっちの宇宙が心配で……」
 再び大きく溜め息をつくマルセルに確かに共感を覚えてしまうのは、個性があまりにも強い彼の人のことを思い出してのこと。
「だ、大丈夫だよ、マルセル。ヴィクトールとティムカがいるし」
「アンジェリークもレイチェルもあいつのことはなんだかんだと扱いにはなれてるだろうしな」
 フォローになっているのかいないのか。マルセルは遠い瞳になる。
「でも、セイランだけじゃなくて、レオナードやフランシスもいるんだよ……。彼らを見てたら、ここの人たちが普通に見えるよ、僕……」
「……」
 新宇宙の光と闇の守護聖に任命されたその二人の名にただ沈黙が流れる。ある意味、彼等も個性が強いのだから。
「あの人選の結果があっちの宇宙の未来が危機に落ちた要因にならなきゃいいんだけど……。」
 ふぅ…と、諦めばかりを映した瞳。
(こいつ、さりげなくきつくなってやがる……)
 将来は水の守護聖のようににっこり笑って、柔らかくもきついジャブを繰りだしてしまうのだろうかとついつい考えてしまう。甘えん坊だけど、素直で心優しい少年だった彼はどこにいってしまったのか。
「でもさぁ、俺達の後継者じゃないから、ましだろ」
「……」
 その言葉に、ひたすらの沈黙。結局は火の粉のかからぬ範囲のできことなのだから。
「あー、何だか今日はジュリアスに説教されても、気にならない気がするぜ……」
「俺も闇夜でクラヴィス様を見ても、驚かない気がする……」
 酷いことを言っている自覚はあるものの、マルセルの深いため息を前にすれば、些細なことに過ぎないと彼等は思った。

マルセルが一番不安に思ってるでしょう……。あの人だからなぁ……。

<聖地お笑い劇場>