歓喜のナミダ
| 初めての時は未知への恐怖と痛みに涙した。優しく抱いてくれたけれど、涙は止まらなかった。 「ん、ぁ……」 そのせいだろうか。今も依織が自分を抱く時は優しすぎるほどに触れて来る…とむぎは思う。 「や、あっ……」 「嫌?」 むぎの微かな反応も見逃さない。ぴたりと止まる依織の指にもどかしさを感じる。もう、自分がどうなっているかなんてわかっているはずなのに、とむぎはぼんやりと思う。依織はむぎが本当に嫌がることはしないのだから。 「いや…じゃない……」 恥ずかしさに声が小さくなる。 「じゃあ、『もっと』の意味で解釈してもいいのかな?」 「いじわ…、ひゃ?!」 むぎが憎まれ口を叩くより先に、依織に先ほどよりも強い刺激を与えられ、むぎの背中が大きくしなった。体中には赤い花が咲き乱れていて。どの部分に触れても、むぎの身体は反応してしまう。自分でも知らなかった、気持ちのよくなる場所をすべて依織に暴かれているような気がする。 「っ……!」 クチュリ…と微かな水音。依織の長い指がむぎの泉をさらに潤わせるために入り込む。むぎの中をも知り尽くした指は快楽だけを引き寄せてしまう。 「ん、あぁ!」 込み上げて来る何ともいえない高揚感。自分の身体が自分のものではなくなるようなそれは泣きたくなるような、そんな気がして。 「もう、いいかな?」 いつしか、指は二本に増やされていて。むぎの中はその指を引き込むようにうごめいていた。太腿にあたる熱は依織自身の情熱そのもので、その熱さにむぎはコクリ、と頷く。 「う、んっ……」 まだ慣れないためなのか、身体にひどく緊張が走る。そんなむぎを宥めるように優しい口付けが降ってくる。自分が世界で一番幸福なのだと思う瞬間。 「動く、よ……」 「う、ん……」 ゆっくりと動き始める依織。むぎを気遣い、むぎの感じるところを重点的にせめて。 「あ、あん、っ……」 何ともいえない感覚に瞳に自然と涙が浮かぶ。自分を翻弄させている依織の表情はいつもの穏やかなものとは違い、むぎだけを求めている。その情熱に焼き殺されても、後悔はしないと思えるほどに。 「辛い……?」 「?」 「俺は泣かせてばかりだから……」 その言葉にむぎはゆっくりと首を振り、依織の首に回した腕を解いて、依織の頬を包み込む。 「……違うの。嬉しいの……。依織くんに愛されてること、嬉しくて……」 「……!」 「ひゃっ!」 自分の中の依織の存在がさらに増したような気がして、むぎは戸惑いの声を上げる。 「馬鹿だね、止まれなくなってしまうよ?」 「止まらないで、いいから……」 もっと愛して…と、その言葉は依織の唇に飲み込まれて。そして、さらに激しい嵐に翻弄されることになる。瞳からとめどなく溢れ出す涙。けれど、それはとても幸福な輝きに包まれていた。 |