微かな吐息

 二人きりで過ごす休日は何よりも甘い時間を。恥ずかしがる恋人をたやすく依織はたやすく言いくるめて、その身体を膝の上に座らせる。
「あの、重くない?」
 恋人の可愛らしい気遣いに笑みをこぼして。
「どうして? 君のぬくもりが心地いいし。やわらかくて、暖かいしね」
「ば、ばか……」
 可愛らしく真っ赤になる恋人に愛しさがとまることはない。
「それでね、依織くん……」
 それでも、一旦この状況になってしまえば、むぎも依織に身体を任せて。他愛のない会話を楽しんでくれる。恋人だからこそ出て来た甘えの証しなのだろうと思うと、自然と依織もそういう状況に持っていきたくなる。ある意味、悪循環なのである。
 むぎが気にするほどにはむぎは重くはない。余分な肉はついてなくて、付くべき場所に付いている。身体の上ではこれ以上の贅沢はない。それに依織の前でしか見せない姿。むぎにとっては依織が初めてということもあり、依織の手で丹念に育て上げ、咲かせた花。それを手折るのは育てた依織自身なのだ。そんなことを考えて、クスリと依織は笑みをこぼす。
「もぅ、聞いてるの?」
「聞いてるよ、お姫さま。君の声は心地いいから、いくら聞いても飽きないよ」
「どうして、恥ずかしくなることをそう簡単に……」
 むぅと拗ねるむぎの機嫌をとるべく、柔らかな猫ッ毛の髪を梳いてやると、やがて気持ちよさそうな顔をする。安心しきっているのだろう。
「あ……」
 不意にむぎの口から微かな吐息が零れ落ちる。微かだけれども、確実に艶をこめた吐息を。
「どうしたの?」
「え……。髪が、その耳に入って、その、なんというか……」
 言いかけて、真っ赤になる。そんな様子に依織はああ…と納得する。
「耳が弱かった、っけ……」
 意識して、耳元で囁けば、抑えようとする声。けれど、その仕種がまた依織を誘ってやまない。
「……可愛いね」
 そう告げて、首筋に口づけを落とす。
「い、依織くん……。あ、あの……」
 未だに依織の膝の上にいる状態ゆえに依織の状態の変化に気づいているのだろう。顔が真っ赤である。
「ごめんね、でも、君が悪いんだよ……。そんなに甘い声で俺を煽ったんだから……」
 そう告げると、むぎが反論する前に、その唇を塞いだ。

…裏っぽくないなぁw でも、まぁ、裏ということでw