濡れた唇、覗く舌

「すず……」
「んっ……!」
 名前を呼ばれたかと思えば、すぐさま依織に口づけられて。未だに慣れないむぎの身体は固くなる。それを宥めるように、最初は柔らかく啄むようなバードキスを。緊張が解けて来るのを見計らって、微かに開いた唇から舌を忍ばせて、深い口づけを仕掛ける。
「ん、っ……」
 縮こまり、逃げようとするむぎの舌をたやすく己のそれに絡めて。むぎの口内を我が物顔で蹂躙していく。こわばっていた身体からはいつしか力が抜けきってしまい、離れようともがいていた手は依織のシャツをすがりつくように掴んでいる。その掴む手の力すら、今はもうない状態。
「ふ、ぅ……」
 力の抜けた身体は簡単にソファに沈みこむ。ぼんやりとした瞳。長い口づけで塗れたくちびるはわずかに開いていて、赤く染まっている。そこから覗き込む舌は扇情的にすら、依織の目には映る。
「君が誘ったんだよ?」
「……?」
 ぼんやりした思考では依織の言葉の意味に気づいていないのだろう。けれど、これはもうむぎが誘っているのだ。その存在だけでも、依織の中の熱を煽ってやまない。だから、これは当然の好意なのだ、と。
「愛してるよ……」
 そう囁く言葉は断罪の言葉なのか、愛情ゆえのものなのか。この好意を正当化するためのものなのか……。依織自身にもわからないまま、自分を誘ってやまない唇に吸い寄せられるように口づけた。

依織誕生日の公式はすごかった……。スクショとってニヤニヤしてます(笑)