お星様と守護聖様
伝説のエトワールとして選ばれたエンジュはアウローラ号で聖獣の宇宙を飛び回る日々を送っている。自分の目で宇宙の成長を、発展を見られることは楽しい。
「レオナード様、執務をサボっていらっしゃらないかしら……」
唯一の心残りをつい呟いてしまうと、相棒であるタンタンは大きく溜め息を付く。
「今更ながらに宇宙の意志の人選を疑いたくなるのぅ……」
それは言い過ぎかもしれないんじゃ…と思いつつもエンジュは黙っておく。見た目がうさぎのぬいぐるみと街中でしばしば会話するものではない。良く考えなくても、怪しい人だ。
「一通り、見て回ったから、お買い物♪」
まだまだ発展中の宇宙とはいえ、聖獣の宇宙だって広い。星域により、特産品は違う。今日、エンジュが訪れたこの惑星はさまざまな鉱物が採掘されるところであった。
その鉱物を使った加工品などが、店に並んでいる。
「でも、天然石がほしいなぁ……」
綺麗に加工されたアクセサリーもいいけれど、手の入っていない鉱物自体も見ていて楽しい。色々な店を見ていると、エンジュは見知った人影に気づいた。
「ゼフェル様?」
「げ……」
鉱物を見ていたらしいゼフェルは声をかけられて、焦ったような表情をする。
「また聖地を抜け出したんですか? ジュリアス様にしかられますよ?」
「うるせーな。ジュリアスが怖くて、レアな鉱物が手に入るかよ」
「でも、ここは天然石のおみせですよ? 鉱物がほしいんなら、王立研究院の許可証を得て、鉱山に行かれたほうがいいじゃないですか? なんだったら、これからアウローラ号から、メールを入れて、許可証をもらいますけど?」
「おめー、素直すぎるのも問題だな……」
「?」
首を傾げるエンジュにゼフェルは軽くため息をつく。天然はある意味最強であると思う。
「ここにいい石が入るって聞いたんだよ。カットされた石より原石のほうが自分の好きなように手が入るからな」
「……陛下にですか?」
「な……!」
天然な癖にどうして、こういうところには鋭いのだ。心の中で思わず叫ぶ。
「陛下になら、ローズクオーツとかいいですよね? ピンクで可愛いし〜」
ころころと笑う。確かにそれにしようとは思ってはいたけれど。
「私もレオナード様にお土産買っていこうかな〜」
「はぁ?」
「そしたら、少しはおとなしくしてくれるかなって思うんですよ」
レオナードの評判はそれなりに聞いてはいるけれど。エンジュの口からさらりとそんなことが出てきたことに驚く。
「他のやつにはいいのいかよ?」
「……考えてませんでした」
「おめぇ……。ま、いい」
深くは追求しない。馬にけられる趣味はまったくないのだ。
(ある意味、あいつと同じレベルか?)
それでも、それを口にしないあたり、自分も成長したものだ、とゼフェルは自画自賛した。
リモは無邪気、エンジュは天然です。一応、レオエン風味も入ってますな。
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