天使の影響
エスプレッソの高貴な香りが流れる部屋。ジュリアスは書類に目を通している。女王が集めているジェムに関するものである。
女王の目的を知った今はその目的にそってより効率的に事を運ぶ必要がある。
コンコン。軽いノックの音。
「入るが良い」
「はぁい♪」
「……!」
帰ってきた返事にジュリアスは飲もうとしたエスプレッソを零しそうになる。
「陛下!」
ジュリアスの驚きなどまったく気にせずに金の髪の女王は屈託なく笑う。
「お仕事、ご苦労様☆」
ジュリアスの机の上の書類の山をチラリ、と見て、労いの言葉。
「お言葉、ありがとうございます。ですが……。何故、このようなところに……」
「あら、細かいことを気にしちゃいけないわ」
「気にします!」
大らかなこの天使の性格は美徳ではあるが、やはり、女王としての自覚を持って行動してほしい。
「ゼフェルとランディへのお仕置の件、報告を受けたわ。あなたにしては、くだけてるから驚いちゃった。だから♪」
「……」
理由になっていないと思うのは、決して自分のせいではない、とジュリアスは思う。アンジェリークは目をキラキラさせて、ジュリアスの
答えを待っている。
「どうやって、あんな素敵なお仕置を思い付いたの?」
好奇心に満ちた瞳にジュリアスは苦笑する。答えるまでは戻る気がないらしい。
「そうですね……。陛下なら、そうなされると思ったと言えば、信じますか?」
「私なら?」
キョトンとジュリアスを見つめるアンジェリークに、ジュリアスは言葉を続ける。
「あまり厳しくしても、反発するのが目に見えるでしょうし。陛下であれば、どうなさるか考えてみて、ああしたのです」
「私のこと、そんな風に思ってるの?」
どこか複雑そうな顔。
「いけませんか?」
「だって、その言い方じゃ、私が突拍子もないことばかり考えてるみたいじゃない」
“みたい”じゃなくて、実際そうなのだが、自覚は皆無らしい。もっとも、自覚があったとしても、それを変えることはないのだろう。
「ジュリアスって、そんな人だったかしら?」
可愛らしく尋ねてくる天使にジュリアスは微笑する。
「陛下のご影響を受けたのかもしれません」
「私の?」
「ええ」
あどけなく首を傾げると、頷いてみせる。
「固定観念に捕らわれてばかりの私には陛下の行動は図りかねるところはありますが、陛下は新しい発想で聖地に新しい空気を
与えてくださりますから」
「それって、褒めてくれてるの?」
「私はそのつもりですが」
ジュリアスがそう言うのなら、嘘はない。そのことは十分知っている。
「じゃあ、お礼を言うわ、ありがとう」
にっこりと天使が微笑むと、ジュリアスも微笑みとともにうなずいた。
OAVネタです。ジュリアスのあの二人へのお仕置きがあまりにもお茶目さんなので、書いてみたかったのでした。
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