Dreaming



 夜は眠れない。果てのない夢ばかりを見るから。それは彼のかつての罪をけっして忘れさせないためのものなのか――。
「……」
 アルコールをどれだけ煽っても、思考は冷えて行く。夜の闇はかつての彼の心の闇をも導くかのように。眠れぬ夜を彼はまた
一人で過ごす――。


「眠れないの?」
 心配そうに見つめてくる翡翠の瞳。こうして、二人で過ごす時間。それが彼の心を癒す。けれど、眠れぬ夜はまだ続いていて。
幸福である自分を認識するたびに、それをあざ笑うかのように。

「夢を見るからな……」
「夢?」
「ああ……」
 この少女に話したところで、なんの解決にもなりはしない。それは彼自身の問題だから。けれど、口にせずに入られなかった。
全てを癒し、許す天使。無意識に救いを求めていたのかもしれない。

「悪かったな、情けないところを見せて……」
 苦笑混じりのその言葉にアンジェリークは首を振る。
「ううん。私にそういうところを見せてくれるって事は、私を信頼してくれてるってことでしょ?」
「……」
「不謹慎だけど、それが少し嬉しいの」
 穏やかに微笑んで、告げる天使はそっとアリオスの頬に手を伸ばす。華奢な小さな手から伝わるぬくもり。
「アンジェリーク?」
 そのまま、頭を引き寄せられ、戸惑いながらもアリオスはされるがままに、柔らかなふくらみに包まれる。
「私が守ってあげる。嫌な夢を見ないように……」
 華奢な指がゆっくりと銀色の髪を梳いてゆく。優しい感覚。胸の奥が温かくて、少しだけ痛くなる。だが、同時に心が満たされて
いく。

「あなたが夢の中でも幸福であるように、私、こうしていてあげるから……」
 聖女であり、慈母である、宇宙の女王と言う存在。ある意味、女神のような存在の少女。全ての存在を祝福し、愛し、導く存在。
それは罪人であった彼さえも。

「暖かい…な」
 自然に背中に腕を回す。更にそのぬくもりを求めるように。ずっと、望んでいて手に入らなかった。ずっと、欲しかった暖かさ。
今、ようやく手にした……。

「……」
 やがて、穏やかな寝息をたてはじめたアリオスの頭を優しくアンジェリークは撫でつづける。夢の中の青年を守るように……。

アリオス限定キリ番、20139番を踏まれたねここ様からのリクエスト。「女神のようなアンジェ」です。私なりの女神像を考えたら
こうなりました。