チョコと工具セット


「甘い?」
「別に……」
 甘さを抑えた苦いビターチョコレート。甘いものが嫌いな自分を気遣ってくれたから、その気遣いは受け
取りたい。
「無理はしなくていいのよ」
「おめーは気にしなくて、いいんだってば!」
 女王に対する発言にしては無礼すぎるとジュリアスがいたら、お説教ものだが、気にしている場合では
ない。
 お菓子づくりが大好きなアンジェリークが一番張り切るイベント、バレンタインデー。様々なチョコのお菓子を
作っては守護聖達に振る舞ってくれるのだが、
ゼフェルは甘いものが苦手で。彼女はそれをよく理解してくれていて。チョコレートではなく、工具セットを
特注で注文しようとしてくれていたらしい。その情報を知ったのは、注文を受けた出入り商人であるチャーリー
からだった。
「ええんでっか? 工具セットはええもんを用意させてもらいますけど、陛下の手作りではありませんで?」
「……」
「俺にもチョコレート用意してくれるってゆってくれましたわ。うらやましゅうないですか?」
 いちいち神経に障ることを言って来る。ニヤニヤと笑うのも、ゼフェルの反応をうかがってのことだ。
「……その工具の代金は俺が払う」
「お?」
「……だから、お前はもういい!」
 そう言って、すたすた去っていったゼフェルにチャーリーはにんまりと笑う。おせっかいはしても、しっかり
儲けは考える。商人としては正しいスタイルだったといえよう。


 そして、今に至るわけである。
「おめーのなら、ちゃんと食ってやるんだから。下手に気を使うんじゃねぇよ」
 ゼフェルのその言葉にアンジェリークは嬉しそうにうなずいた。



禁断症状が出てしまいました。ゼフェル・リモージュも大好きなのですw

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