ライバル


 フワフワの明るい金の髪は光を反射させて、人目を魅かずにはいられない。
「よう、お嬢ちゃん」
 育成のために聖殿を訪れていたアンジェリークはオスカーに呼び止められ、立ち止まる。
「こんにちは、オスカー様」
「育成か?」
「はい。鋼の力が必要とされているので、ゼフェル様のところに行くところです」
 ニコニコと応対する少女の愛らしさに思わずオスカーは目を細める。
「育成もいいが、たまにはお嬢ちゃんも息抜きをする必要があるぜ」
「はい?」
 気がつけば、至近距離にオスカーの顔がある。だが、少女は戸惑うこともない。
(素直なのは役得なのか……)
 複雑ではあるが、ちゃんはチャンス。さりげなくアンジェリークの肩に手を置く。
「どうだ、お嬢ちゃん、このまま……」
「このまま、何ですの?」
「?!」
 いきなり背後から聞こえた少しばかりの怒りを孕んだ声にオスカーは振り返る。そこにはもう一人の女王候補、ロザリアの姿。
「あ…ロザリア♪」
 わーいとロザリアに駆け寄りアンジェリーク。自分がオスカーに何をされようとしていたのか、全く自覚がないらしい。その様子に
ロザリアは軽く溜め息を吐く。

「まったく、あんたって子は……。育成があるのに、こんなところで油を売ってちゃ駄目じゃない。それにオスカー様も執務中なんだ
から、あんまり長話をしてはいけなくてよ」

「あ…、そうだ。すみません、オスカー様……」
 素直にぺこりと頭を下げるアンジェリーク。
「い…いや。呼び止めたのは俺だしな」
 言いながら、チラリとロザリアを見ると、きつい視線をかえされる。
「さ…行くわよ。アンジェ」
「……ロザリアはどなたのところに?」
「ゼフェル様のところよ」

「あ、私もなの。一緒に行こう」
「仕方ないわね……」
 そんな会話をしながら去って行く二人。オスカーのことはすっかり頭から離れてしまっているようだ。
「最強のライバルだな、あれは……」
 誰もが心魅かれずにはいられない金の髪の女王候補。周囲はライバルだらけだと言うのに、最大の敵に出現に苦笑するしか
ない。やがて、守護聖たちの間で対策が練られたのは言うまでもない。

 一方……。
「ね、アンジェ。今度の日の曜日、どなたかと約束はしている?」
 ロザリアの言葉にアンジェリークは首を振る。
「ううん。ないけど」
「ばあやが宿下がりしてて、戻ってきた時にイチゴをたくさん持ってきたの。タルトにするって言ってるから。あんたが嫌でなければ、
食べに来ないかなって……」
「いいの? 嬉しい♪ イチゴのタルト大好きなの」
「良くなかかったら、私は誘わなくてよ。」
 余りにのロザリアらしい言葉にアンジェリークはくすくす笑う。
「じゃあ、今度は私がロザリアにシャルロットポワーレを作るね」
「期待しないで待ってるわ」
「ひどーい」
 無邪気な様を見せるアンジェリークにロザリアは内心で決意する。その髪のように、中身もふわふわしていて、頼りないけれど。
目が離せない。その名の通りに、天使の笑顔と優しさで心を和ませてくれるから。そう簡単に他人に譲ることなどできはしない。
(とりあえず、オスカー様は危険人物一号ね……)
 ロザリアの心の中に危険人物として、オスカーがインプットされる。その後、どの守護聖がインプットされたのかは……。それは
また、別の話と言うことになる。


ロザリア・リモージュ。基本的なお話ですよね〜。CDでもロザリアに危険人物にされてますしね、オスカー様ってば(笑)

< 聖地お笑い劇場 >