Birthday night


 シュル…、衣擦れの音が静かな部屋に響く。
「やぁん……」
 触れられるたびに、自分でも恥ずかしくなるくらいの甘い声。声を抑えようとしてもかなわなくて。どうして、こうなって
しまったのか。午前零時。一番最初にアリオスに「誕生日おめでとう」と伝えたくて、プレゼントを持ってきただけなのに。
「何だよ、聞かせろよ?」
 意地悪な声がなんだか悔しくて。潤んだ瞳で見上げても、効果は一つもない。
「意地悪……!」
 そう毒づくのが精一杯。そんなアンジェリークの様子すらもアリオスは楽しんでいるのだ。
「プレゼントを大事に扱ってやってるだろ?」
「誰が…、プレゼントよ……」
「深夜に男の部屋に来るってことはそういうことを期待して、だろ? リボンもついてた、しな」
 ネグリジェについていたリボンを手にして、アリオスは楽しそうに笑う。
「今日は俺の誕生日なんだろう? いつもより甘えてもいいだろう、が」
「いつもより、って……」
 とたんにアンジェリークは真っ赤になる。いつも以上に恥ずかしい思いをさせられるのだろうか、と。そして、この手の
勘は外れたことはなくて。
「そういう顔をするって事は覚悟ができてるんだろ?」
「バ、馬鹿ァ……」
「言ってろ、馬鹿……」
 その言葉とともに唇はふさがれてしまう。そのまま指先はアンジェリークの身体をさまよい始めてしまう。
「あ、んっ――!」
 敏感に反応するカラダ。甘い声。それは極上の調べとなって、アリオスを楽しませてくれる。
「やぁ、も……」
 快楽に染まった瞳はアリオスだけを映し出している。この甘い時間の中で、アリオスが満たされる瞬間。普段は宇宙の
女王として、万物を愛するべき少女が、今このときだけはアリオスだけを映し出している。これ以上の満足感はない。
「アンジェリーク……」
「――!!」
 一つになる瞬間、いつもアンジェリークは身構える。だが、今日はアリオスに手を伸ばし、求めてくる。
「ん、んっ――!」
 苦しげに息をつきながらも、それでもアリオスに手を差し伸べ、微笑んでくれる。
「アリオス……」
 求めれば、それだけ受け入れようとする。だからこそ、深く一つになろうと身体は自然と動く。より深いところで一つに
なるために……。
「はぁ……」
 意識を手放そうとする天使に口付けて、現実に縫いとめる。これだけでは足らない。心が満たされていない。
「やぁ、も……」
「まだ、足りねぇよ。プレゼントはな……」
 そうして、再び天使を染めてゆく。誕生日はまだ始まったばかり……。



誕生日創作っていうか、ゲスト原稿の暗転部分……。良かった、暗転にしといて……。