馬鹿

「アリオスの馬鹿〜」
「はいはい。馬鹿に馬鹿と言われて悔しかねえよ」
「アリオスなんか、知らないんだから!」
 相手のことを馬鹿よばわりをするのはお互い様と言ったところか。
「まーた、馬鹿ップルがやってるわ……」
 すっかりそんな光景になれてしまった才色兼備の女王補佐官は大きく溜め息をつく。
「アンジェリークの口癖のようなものですね……」
 聖獣でありながら、人の姿をとれる青年は微苦笑する。己の半身ともいえる少女は魂は自分の半身ではあるが、
心は彼の青年のものだ。複雑でなければ、嘘になる。けれど、彼の存在がアンジェリークの幸福であるのなら、
それを責めるわけにはいかない。
「あれだけ、毎日ああやっていて、飽きないんでしょうかね」
 呆れているわけではなく、純粋な感想。毎日毎日。他愛のないことで言い争っていて、嫌にならないのだろうか、と。
「飽きないから、馬鹿ップルなんだよ。少なくとも、あの二人はね」
 そう言うと、レイチェルは大きく肩をすくめた。


 ふてくされたアンジェリークはアリオスに背中を向けている。女王ではなく、普通の少女の表情で。
「まだ、ふてくされてんのか? 女王陛下?」
「今の私は女王じゃないもん」
 からかうようなアリオスの言葉に、アンジェリークはそう言って、ぷいと顔を背ける。
「馬鹿だからな、俺は。愛想がつきたか?」
 その言葉にアンジェリークはビクッと肩を巣くませた。
「嫌いじゃないもん」
「そうだな」
 アリオスがアンジェリークをからかうのは帰す反応の一つ一つが可愛いからだ。アンジェリークがムキになるのは、
それか悔しいから。
「……アリオスの馬鹿」
「はいはい」
「唐変木」
「はいはい」
「……」
「アンジェ?」
「ダイスキ」
「知ってる」
 睦事よりもある意味甘い時間。言葉の裏にある真実はただ一つ、だ。
「アリオスの馬鹿」
「愛してる」
「うん……」
 結局、収まるところに収まって。そして、繰り返されるのだ。


「アリオスの馬鹿〜」
「はいはい」
 それは、ある意味、恋人たちの甘い甘いリフレイン……。

馬鹿っプル話……。こういうのも、ありかと。

|| <Going my Angel> ||