こんなプレゼント
ウオッカ、ワイン、ブランデー、日本酒、ジン、etc……。大量の酒が机の上に並んでいる光景は相当なもの
だとは思う。しかも、これは自分で注文したものではなく、一人一人送り主が違うのだ。
「……何なんだよ、これは」
「だって、アリオス、お酒好きでしょう? だから、守護聖様たちにお勧めのお酒を教えてくださいねっていったら、
こうなって……」
アリオスの誕生日の贈り物にと考えていたところを、たまたま用事で来ていたオスカーとオリヴィエにこれは
どうだと言われて。納得したら、こうなったと言いたいらしい。幸いなのは甘い酒がないところだろう。
酒の種類もいろいろだ。一本で家一軒が立つような、長ったらしい名前の由緒あるワインはジュリアスからの
ものだし、オスカーやオリヴィエは自分も飲む人間だからか、美味そうな酒だ。ヴィクトールは遭難者に飲ませる
ために王立宇宙軍で使用されているブランデーだったり、南国の酒はティムカからのもの。マルセルからは、
先代の緑の守護せいから受け継いだワインで、アンジェリークと一緒に飲めるものを送ってくれた。それぞれ、
個性にあふれている。
「…しかし、これだと、俺が酒好きみたいじゃねぇか」
「……お酒、大好きでしょう?」
何を今更問い湾ばかりに、アンジェリークが突っ込みを返す。こういう点は容赦がない。
「それに、腐るものじゃないじゃない。要らなかったら、頂戴?」
「お前、飲めないだろうが」
未成年云々はこの際置いておこう。女王になると、時間の流れが周囲と違ってくるのだから、肉体年齢と精神
年齢は一致しないものだ。それ以前の問題で、アンジェリークはアルコール類は甘くて口当たりのいいカクテル
系のものしか飲めない。だからこそ、マルセルからのワインは口当たりが言い、癖のない白ワインだったはずだ。
「ケーキに使うの。できたら、ブランデーがいいな。香りがすごく良くなるし。アリオスもそれだったら、食べられる
でしょう? 美味しいの作るから!」
甘さを抑えたブランデーのケーキだったら、アリオスも食べてくれる。そんな思いからの言葉だったが、どこか、
アリオスの琴線に引っかかったらしい。
「香りが良くなる、か……」
「な、何?!」
あまり、いい予感のしない笑顔を浮かべるアリオスにアンジェリークは反射的に身構える。
「そうだよな。美味しくいただくのはいい方法だよな……」
「だから、何よ!」
反射的に後ずさろうとするアンジェリークの腕をつかみ、アリオスは手近にあったブランデーを手にとった。
「アリオス?」
「香りを楽しむんだろ? それに味もよくなるってお前が言ったし。美味しくしてくれるんだよな?」
「だから、何よ〜」
「ナニだろ?」
あっさりとアンジェリークの嫌な予感を肯定すると、アリオスはそのままアンジェリークを寝室に引きずって
いった。
翌日、アンジェリークの身体から、ほのかにアルコールの匂いがするのをいぶかしむレイチェルにアンジェ
リークが必死で言い訳していたことは言うまでもない。
…すみません。出直してきます。…ちなみに翌日までの過程はこっそり裏に……。
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