『TRICK TREAT!』
 帰宅したなり、そんな言葉が書かれたボードを持って飛んで来た小さな天使にレヴィアスはどのように反応を返すべきか迷い、カインに問うてみた。
「アンジェリークは何が言いたいのだ?」
「……今日はハロウィンでしたから」
 疲れたようにカインは答えを導き出す。毎日が忙しいレヴィアスはこうした行事ごとに疎い。これまではそれでよかったのだが、この小さな天使がいると、話は別である。
(ジョヴァンニあたりが思い付いて、面白がっているな……)
 レヴィアスの部下の子供たちはこうした行事ごとを積極的にすることはしない。とすれば、思い当たる人物は限られていて。
「ハロウィンとは子供が仮装して練り歩くのだったな」
「はい。家々を訪れて、『TRICK TREAT!』とお菓子をもらえないと、悪戯をしかけるのです」
「だから、このような格好か……」
 小さな天使が身にまとうのは魔法使いの衣装。ご丁寧に三角帽子にほうきと言うオプション付き。
「我は菓子を持ってはいないのだが……」
「悪戯、ですね……」
 お菓子を持ち歩くことなどないから、当然のこと。
「どうするのだ?」
 腕を広げて、何も持っていないとゼスチャーで示して見ると、小さな天使はプレートを投げ捨てて、ギューッとレヴィアスに抱き付いた。
「これが悪戯か?」
「♪」
 レヴィアスの問いかけにこくこくと小さな天使は頷く。
「こんな可愛い悪戯なら、いくらでも受けるぞ」
 満足に抱きついてくる小さな天使を抱きしめ返す。そんな二人を見つつ、カインはかばんの中にのど飴を入れてあったことを思い出して、安堵のため息をつく。案の定、しばらくレヴィアスに抱きつくことを堪能していた天使がカインを見上げてくる。
「これでよろしいですか?」
 フルーツ味ののど飴を差し出くと、嬉しそうに受け取る。その様子を見て、カインは安堵のため息をつく。そして、思う。これがジョヴァンニが仕掛けた最大の悪戯なのだ。小さな天使に歌詞を差し出さなければ、抱きつかれる。つまりはレヴィアスの機嫌を損ねてしまうことになってしまう。
(他の連中にも菓子を持つようにさせておこう……)
 優秀な部下の気苦労は耐える事はなかった。

出てきてませんが、ジョヴァンニが一番のいたずら者ですw


‖<Angel Days>‖