ジョヴァンニが長期出張から戻ってくるとの連絡を受け、他のレヴィアスの部下達がまず考えたことはいかにアンジェリークに接触させないかであった。出張に行く直前に、小さな天使に爆弾発言を残して行ってしまった。その後、落ち込んでしまい、食事をとらなくなった小さな天使を溺愛してやまない彼等の主からのとばっちりを受ける羽目になったのだ。
「ショナ、ルノー。絶対に接触させるなよ」
 小さな天使の世話をしている二人の子供にかわるがわるに言ってくる大人達。当の天使はきょとんと首を傾げるだけである。爆弾発言をされたからと言って、この天使が人を嫌うことはないのだから。


 そして、ジョヴァンニが出張から戻ってきた。会社でレヴィアスに仕事上の報告をすませると、当然、屋敷に戻ってくる。
「ショナ、ルノー。絶対にアンジェリークをここから出さないように」
 カインに強く言われ、ショナとルノーは顔を見あわせる。
「大人って、大変だね……」
「そ、そうだね」
 小さな天使がすっかりと中心になってしまった。それはよい変化なのか、そうでないのか。小さな天使はそんなことを知るはずもなく、ぱたぱたと部屋の中を飛び回っていた。


 ちなみにジョヴァンニが土産として持ち帰ったのは、パンでできた人形と子供服と靴、そしてテディベアの縫いぐるみであった。
「パンでってことは食えるのか?」
「そうだよ。アンパンマンにヒントを得て、作らせたんだよ」
 飴で一本一本丁寧に作られた髪や林檎色のほほなど、一見してパンだとは気付かない出来である。アンジェリークを一回り小さくさせたくらいの大きさだから、人形として遊ぶにはまぁいいかも知れない。だが、これはパンなのだ。
「でも、食うんだよな……」
 ここまで丁寧に作られていても、パンなのだ。小さな天使がかぶりつく姿は何となくスプラッタな気がしてやまない。
「食べられるし、勉強にもなるんだよ。ほら、」
 そう言って、ジョヴァンニは人形をもう一つ取り出すと、いきなり人形の髪の部分をはぎとってしまった。すると、中には脳の形のメロンパンが入っている。
「…おい?」
「パンを食べながら、人間のからだの構造を理解しようって言うのが、コンセプトなんだ。内蔵も凝ってるんだよ」
 けらけら笑うジョヴァンニ。別に彼は小さな天使を嫌っているわけではない。ただ、天使を溺愛してやまない主とそれに振り回される同僚を高みから見て楽しみたいだけなのだ。
「却下だ」
 そう言い捨てると、カーフェイは人形パンを常に常備しているナイフで八つ裂きにした。
「えー。何するのさ」
「やたらと地雷をしかけるな!」
 不毛な争いを繰り広げる二人をよそ目にカインは他の土産をチェックする。どうやら、他は普通らしい。土産チェックを敢行してよかったと安堵のため息をついた。

元ネタは竹田エリ先生の「パサラちゃん」より。人体の勉強も出来る美味しいパンって、いらんわw


‖<Angel Days>‖