親戚から送られてきたと言って、大粒の栗を同僚にもらった。アリオスには自炊の趣味はない。炊飯器は半年以上も使用されていない。
「丸ごと湯がいて、半分に切って食ってもうまいぞ。料亭に出す栗だからな、味は保障してやる」
「ああ、そうさせてもらう」
 とりあえずは受け取って帰ったものの、栗だけをそのまま食べるのもどうかとも思う。けれど、料理は面倒である。
「食うかな、あいつは……」
 ついつい思いをはせるのは家で待っている小さな天使。その天使が喜ぶのなら、それでいいのかもしれない。そんなことを考えている自分に苦笑してしまうしかなかった。

 家に帰ると、早速栗をゆで始める。何をしているの?と、覗き込む小さな天使を必死に押さえつつ。皮付きの栗を見るのは初めてだったと思い出す。この小さな天使に与えてきた栗のお菓子はすでに加工済みだったものばかりだ。だからと言って、この小さな天子の好奇心を優先させると、お湯が跳ねてやけどしてしまうかもしれない。過保護だとは思いつつ、やけどしてからでは遅いのだ。
「ほら、アンジェ。あーん」
 茹で上がった栗を半分に切り割ってスプーンですくい、小さな天使の口元に。栗は大粒で赤ん坊サイズの小さな天使の手には余る。そういうわけで、アリオスが食べさせることにしたのだ。まだ、ゆでたてなのでほこほこ湯気が立っている。小さな天使はふうふうと息を吹きかける。その様子がまた可愛い。
「♪」
 はむはむと美味しそうに食べている。ゆでた手のそれはとてもほくほくしていて、栗のそのものの甘みもこの小さな天使には満足であったようだ。
「うまいか?」
「〜〜〜♪」
 じたばたと美味しいと言う感動を伝えたいのが精一杯のパタパタする。言葉が話せない分、アクションはかなり大きくて。またそれも可愛いとすら思ってしまうのだ。
「まだあるからな。腹いっぱいになるまで食えよ」
「♪」
 アリオスの素敵な言葉に小さな天使は満面の笑顔でうなずく。アリオスもまた幸せな気分になるのであった。

田舎から栗が飽きるほど送られてきたので、つい……。しかし、食ってばかりですな。うちの天使はw


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