カプリ、と豪快にかじれば、その果実からは滴り落ちる果汁。それをぺろりと舐める。それすら程よい甘さ。
「うん。食べ頃だな」
 一つ、試しに食べてみたら、ちょうど良く熟していた。これなら、他の果実も大丈夫だろうと確信する。
「アンジェ、おまえも食うだろ?」
 その問いに小さな天使はにっこりと笑ってうなずく。元々、味見だってこの小さな天使のためにしたのだが、一応は確認である。
「待ってろ。今、剥いてやるから」
 そう言いながら、アリオスは桃を剥こうと一つ手にするが、不意に悪戯をそれを小さな天使に差し出す。
「自分で剥いてみるか? 熟してるから、手でも剥けるぞ?」
「……」
 言われるままに小さな天使は桃を受け取った。だが……。
「〜〜?!」
 小さな身体では桃を丸ごと一つは支え切れないらしく、よたよたと落とさないように持つのが、精一杯。
「〜〜」
 悲しげにアリオスを見上げると、どこかおかしさを堪えた表情。だが、小さな天使の機嫌をこれ以上悪くならないように、桃を取り上げて、綺麗に剥いてから、食べやすいように小さく切ってやる。
「ほら、アンジェ」
「……」
 不信げにアリオスを見上げて来る小さな天使にさすがに悪戯がすぎてしまったとアリオスは思った。
「うまいんだぞ?」
 桃には罪がないから、と口許まで持って行ってやると、甘い香りには逆らえなかったらしく、ぱくりと食べてしまう。
「♪」
 お気に召したらしく、ニッコリ笑う小さな天使にアリオスはほっと息を吐く。やはり、この小さな天使には笑顔が一番である。
「もっと食うか?」
「♪」
 すっかり機嫌を直したらしい小さな天使にアリオスも満足そうに笑った。

あほだ、このアリオス……。


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