小さなテディベアが焼き菓子を抱いている。アリオスがそのお菓子を買ったのは、特に意図してではなく、だまたま通り掛かった洋菓子店のディスプレイに並んでいたのを見たから。
(アンジェに買ってくか……)
 甘い物が大好きな小さな天使は一人でいつもお留守番。そんな天使への細やかなご褒美、ただ、それだけだったのだ。
「♪」
 だが、小さな天使が殊の外喜んだのは小さなテディベアの方だった。アリオスの手には小さなものでも、小さな天使にはちょうどいいサイズだったらしい。せっかくの焼き菓子もそこそこに、テディベアをギューッと抱き締めて離さない。
「アンジェ、食わないなら、俺が食うぞ」
「〜」
 冗談混じりで包みを開ける振りをすると、テディベアを持ったまま慌てて飛んで来る。
「〜」
「とらねえよ、ほら、あーん」
 小さな天使の一口サイズに千切って食べさせてやろうとすると、あーんと素直に小さな天使は口を開く。気分はひな鳥に食べさせる親鳥である。
「そいつが気に入ったか?」
「♪」
 アリオスの問い掛けに小さな天使にこにこと頷く。そんな様子を見て、ふと意地悪な問い掛けをしたくなった。
「じゃあ、おれとそいつなら?」
「……」
 迷うことなく、小さな天使はテディベアを傍らに置いて、アリオスにギュッと抱き付く。何があっても離れない、そんな気迫すら感じられた。
「そっか……」
 半分は分かっているはずの答えでも安堵している自分にアリオスは苦笑する。この小さな天使にとって、アリオスが一番大事な存在であること、そのことに安堵すらしているのだから。
「?」
 あどけなく自分を見上げる小さな天使の頭をアリオスは優しく撫でた。

大人気ないな、アリオスw ちなみに管理人の行きつけのケーキ屋さんの焼き菓子セットがモデルですw


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