ぱたぱたぱた。小さな羽を羽ばたかせて、小さな天使の視線はアリオスの手に向けられている。
「ほら、四段梯子」
「♪」
 ぱちぱちぱちと小さな天使はキラキラした目でアリオスに讃辞の拍手する。
 すいすいとアリオスが両手に糸の輪を絡めて、織り成してゆく糸の魔法。元々は一本の糸の輪がこんな風に色々と形を変えて行くことが小さな天使には魔法のように見えてしまう。
(まさか、アンジェがここまで喜ぶとはな……)
 勤務先の病院で懐かれた子供に無理やりに教えられた物だ。アリオスは手先が器用なため、すいすいと覚えてしまった。子供が喜ぶのなら、この小さな天使も喜ぶかと思ったら、案の上、羽をパタパタとさせて、ご機嫌である。
「〜」
 アリオスの服の裾を掴んで、自分もやりたいとせがむ。
「おまえの糸はないんだ」
 そう言って、アリオスは手から糸を外した。そもそも、この赤ん坊サイズの天使の指ではアリオスの使う糸では長すぎるのだ。
「……」
 しゅん…とする小さな天使に胸が痛まないわけではなかったが、こればかりは仕方ない。
「お前の糸はちゃんと用意してやるから」
 そうなだめてやったアリオスであったが、小さな天使はあきらめ切れないような顔をしていた。


 そして、数日後。仕事に行ったアリオスを待って、一人お留守番の小さな天使はふとテーブルの上にあやとりの紐を置いてあるのを見つけた。
「♪」
 アリオスは小さな天使に合う糸を探してくれるといったが、やっぱり待ち切れなくて。テーブルの上の糸に手を伸ばした。
「〜」
 糸にてをつけたのはいいものの、アリオスの指に合わせたものは赤ん坊サイズの小さな天使には長すぎるのだ。
 必死でアリオスがやっていたようにしてみようとしてみるが、長すぎる糸は小さな天使には大きな負担であった。


「だから待ってろと言っただろうが……」
 帰宅したアリオスがみたものはあやとりの糸に手足が絡まった小さな天使の姿であった。
「〜」
 目に涙をいっぱいに浮かべて、アリオスを見上げて来る。
「ほどいてやるから待ってろ」
 丁寧に糸をほどいてゆく。所々に糸の後がついて痛々しい。
「ちゃんと言うことを聞かないからだろ?」
 アリオスの言葉に小さな天使はシュンと俯いて、キュッとアリオスに抱き付いた。
「痛かったな?」
「……」
 ふるふると首を振る。精一杯のごめんなさいをだきつくことで小さな天使はそれを伝えて。それは十分にアリオスに伝わった。


 そして、小さな天使用のあやとりの糸をアリオスが買いに走ったことは言うまでもなかった。

床暖房の話から、派生しましたw


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