「ほら、アンジェ。あーん」
「♪」
 アリオスが小さな天使の口許にマシュマロを持っていってやると、餌づけされるひな鳥のように口が開く。
「うまいか?」
「♪」
 ホワイトデーが近いため、それ専用の売り場がにぎわっている。そういう訳ではないのだが、ついついマシュマロを買ってしまったのだ。ふにふにと柔らかくて甘い食感は辛党のアリオスには理解しがたいが、小さな天使はご機嫌で食べている。
(なんか、似てるよな……)
 指先で掴むマシュマロのふにふにとした感触。思い至る事といえば、ただ一つ。
「?」
 マシュマロを持ったまま何事かを考えているアリオスに小さな天使は首を傾げて、その袖を引っ張る。もっと…と、おねだりらしい。
「ああ、悪い」
「〜♪」
 ぱっくりと美味しそうにマシュマロを口に入れる。それは至福の表情で。アリオスは満足そうな顔をする小さな天使の頬に手を伸ばした。
「ああ、同じだ……」
「〜?」
 いきなりアリオスの指で頬をふにふにとつままれて、小さな天使は抗議の視線を向ける。だが、アリオスはそのまま小さな天使を抱き上げて、頬をぺろりと舐めた。
「?!」
 いきなりのアリオスの行動にすっかりパニックになる小さな天使に対し、アリオスはどこか納得したように笑う。
「マシュマロよりも甘くてうまいかも、な……」
「〜」
 少しばかり、機嫌を悪くした小さな天使は仕返しとばかりにアリオスの頬に噛み付こうとしたが、そうなる前にマシュマロを口にほうり込まれて。
「お前はこっち」
「……」
 納得しない顔をしたままの小さな天使の口に、機嫌が直るまでマシュマロをほうり込んでやるアリオスであった。

ホワイトデーなら、マシュマロかと思います。で、天使はふにふにかと。


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