| ぱたぱた♪ぱた…よた、ぱた……。よた、ぱた……。千鳥足ならぬ千鳥飛びと言ったところか。 「〜♪」 にこにこにこ。顔色はほんのりピンク色。いつも以上にご機嫌な笑顔で、ふらふらと飛び回る小さな天使を見て、アリオスは微苦笑を浮かべるしかない。 「こら、危ないからこっちに来い」 そう声をかけても、聞こえているのか、聞こえていないのか。ただただ小さな天使は危うい羽音で飛び回るだけである。 「小さいから、酔いやすいのは仕方ないのかもな……」 ことの原因となったグラスの中身に目をやって、アリオスは深く嘆息する。 小さな天使がすやすやと眠る深夜。ウオッカとチーズを共に、小さな天使が起きてる時にはとてもじゃないが見られないホラー映画のDVDを見ていた。内容は公開当時に絶賛されたように、ただ怖いたけではなく、緻密なストーリー、役者たちの名演技、リアルな舞台等、見入ってしまうものだった。小さな天使が夢の中にいるという安心感があったのかもしれない。 ぱたぱた……。緩慢な羽音で飛んで来た寝ぼけまなこの小さな天使に服の裾を引かれて、慌てて一時停止をかけ、テレビの電源を切るまでは良かったのだ。 「どうした?喉が渇いたか?」 「……」 その問い掛けに頷いた小さな天使のために水をやろうと一人でキッチンに水を汲みに行ったのかまずかった。 「ほら、アンジェ……」 水を汲んで来たアリオスは一瞬固まった。 「〜♪」 真っ赤な顔になっている小さな天使がふらふらと飛んでいたのだ。テーブルの上には少しだけ減ったウオッカのグラス。透明なウオッカに冷たい氷が入っていて。喉が渇いていた小さな天使は水と間違えて飲んでしまったらしい。 「俺が悪かった、のか……?」 ガックリとアリオスは肩を落とすしかなかった。 「〜♪」 真っ赤な顔でふらふらと飛び回る小さな天使。 「アンジェ、俺を置いて、飛んで行くのか?」 そう声を掛けて、腕を広げると、小さな天使はためらいなく飛び込んで来た。 「♪」 すりすりとアリオスの胸にすり寄る。いつもなら、頬をふにふにとしても嫌がるのに、ご機嫌な顔である。ぎゅーっと抱き付いてきさえするのだ。普段はここまで甘えたりしない。 (普段は遠慮してんだな……) 仕事で忙しいアリオスを気遣っているのだろう。だから、甘えるのを控えていて。こうして酔っ払った状態になった時に、本音が出ているのだろう。 「馬鹿だな……」 髪を撫でているうちに、いつしか小さな天使は寝息を立て始めた。アリオスは見ていたはずのDVDの内容もどうでもよくなっていた。 |
天使が酔うと面白いかなぁ…と。結局はあまあま……。
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