「ほら、アンジェ」
「?」
 アリオスが差し出した真新しい靴下に小さな天使は小首を傾げる。
「クリスマスに枕元にこれを吊しとくと、サンタクロースって粋狂なじいさんが勝手に家ん中に入ってきて、プレゼントを置いてくんだ」
 かなりはしょって誤解がある説明ではあるが、間違ってはいない。
「お前もいい子にして寝てれば、プレゼントを置いていってくれるからな」
 小さな天使にサンタクロースの知識があるのかどうかはわからないけれど、こう言った行事のお約束はしてやりたい。靴下にいれるプレゼントも用意してある。
「……」
 だが、当のアンジェリークはどこか不満そうな顔をする。
「どうした、アンジェ?」
「……」
 ぱたぱたと小さな天使はアリオスの周りを飛び回ると、靴下を手に取って伸ばそうと引っ張り始めた。
「おいおい、アンジェ……」
 いったい何がしたいのかと戸惑うアリオスの手を掴むと、小さな天使は靴下の中を指差した。
「アンジェ?」
「〜」
 この大きさでは足りないと、精一杯に腕を広げて。
「〜!」
 挙げ句の果てにはぎゅっとしがみつく。そこにきて、ようやくアリオスはアンジェリークの願いに行き着いた。
「プレゼントは俺がいいのか……」
 やっと想い至った答えを口にすると、小さな天使は嬉しそうに顔をほころばせた。年末の忙しい時期。なかなか休みが取れないし、休みの時でも急な呼び出しがあって、小さな天使には随分と寂しい想いをさせてしまった。その挙げ句に、せっかくのクリスマスプレゼントをこんな細やかなものを望ませてしまうだなんて。可哀想なことをしてしまった。
「…サンタに頼まなくてもいいんだぞ? おまえが望むなら、そばにいてやるから」
「♪」
 その言葉に天使は嬉しそうに笑う。
「イヴは無理だけど、クリスマスはたっぷりサービスしてやるからな」
 イヴの夜は恋人のいる同僚に譲ったから、無理だけども。代わりにたっぷりと側にいてやろうとアリオスは思った。

アリオスが入る靴下って、でかいよなぁ……。


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