「じゃあ、アンジェリーク、行ってくるからな。今日は早く帰るから」
 そう言って、玄関先までお見送りをする小さな天使の頭をなでると、アリオスは家を出る。やがて、ガチャリと鍵が閉まる。
 鍵が閉まるのを合図に、ぱたぱたぱた…と、小さな天使は窓辺まで飛んで、外を見つめる。アリオスは知らない。いつも、こうやって小さな天使が窓辺から見送っていることを。アンジェリークだけの秘密だ。
 アリオスが乗った車が見えなくなるまで見送ると、小さな溜め息をついて、窓辺から離れた。
 アリオスがいなくなると、途端にこの部屋がガランとした無機質な部屋になってしまう。それがひどく寂しくてたまらない。お仕事だから仕方ないとわかっていても、だ。
「……」
 アリオスが買ってくれた熊のぬいぐるみに抱き付いてみるけれど、寂しさは紛れない。ただ時間がすぎるのを待つだけだ。いつまでも慣れない。アリオスに心配をかけたくないから、お見送りは笑顔でいるけれど、本当はいつもそばにいて欲しい。
 ぱたぱた……。両手でぬいぐるみを抱えて、アリオスのベッドに向かう。脱ぎ捨ててあるアリオスのシャツをぬいぐるみにかぶせて、ぎゅっと抱き付いたら、アリオスの残り香に安心する。寂しいのを紛らわせるために。そうして、いつの間にかアンジェリークは夢の中の住人になる。早く帰ってこないかなぁとと、ただそれだけを考えて……。


「ただいま、アンジェ」
「♪」
 いつもの時間に帰ってきたアリオスにアンジェリークは嬉しくていつも抱きつく。いつだって、本当のアリオスが一番いい。そう、思いながら……。

たまにはアンジェ視点で。寂しいのをこらえて、お留守番しています。


‖<BACK>‖