見上げると、月が綺麗な夜だった。小さな天使にも見せてやりたくて、眠そうにしていたのを、無理にマンションの屋上に連れていった。
「♪」
 寝惚け眼だった天使も綺麗な月を前にしては目が冴えてきたらしい。ぱたぱたと小さな翼を動かして、月を見上げている。抱き締めていた腕をほどいてやると、月に向かって行こうとするかのように、ぱたぱたと飛び回る。
 小さな体に小さな翼。けれど、自由に空を飛ぶことが出来る。アリオスの手を離れて、自由に……。きっと、月にまで飛んでいけるのだろう。小さな翼には無限の可能性を秘めている。
「アンジェ……」
 呼び掛けると、クルリと天使は振り返る。『なぁに?』とあどけない瞳に映して。
「あんまり、飛んでいくな……。月まで行く気か……」
 何を言ってるのだろうと、自分でも思う。実際に天使もキョトンとしている。
「……」
 暫く考えていたアンジェリークだったが、にっこりと笑顔を見せて、アリオスに手を差しのべた。
「アンジェ……?」
「♪」
 月を指差して、一緒に行こうと天使は訴える。アリオスと一緒がいい、と。
「馬鹿…お前が俺を連れて飛ぶのは無理だろう」
「……」
 その言葉に、小さな天使はシュンとうつ向く。アリオスは小さな天使を手招きして、抱き寄せた。
「俺と一緒がいいか?」
「♪」
 にっこりと天使はうなずく。
「早く大きくなって、俺を連れていってくれよ?」
 その言葉に天使は嬉しそうにうなずいた。

らぶらぶ…なんだろう、か。アンジェがアリオスをつれて飛べるまでにはどれくらいの大きさにならなきゃならないんだろう……。


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