はむはむはむ。アリオスの手で支えられたドーナツを熱心に食べるアンジェリーク。食べさせているアリオスの気分は餌付けである。世間一般のドーナツは小さな天使の手では持てないのだから仕方ないが。ドーナツの丸い輪郭を追い掛けるようにはむはむとアンジェリークは食べていく。
「うまいか?」
「♪」
 嬉しそうにアンジェリークはうなずく。それを見て、アリオスは微苦笑する。実は天使のために買ってきたのではなく、帰宅前に職場の看護婦に協力してくれと押し付けられたのだ。なんでも、ストラップが当たるまでは頑張りたいのだ…とのことらしく、一人では消費しきれないので、と職場で泣き付かれたのだ。甘いものが嫌いなアリオスにとっては迷惑な話である。
(そこまでしてほしいものか……?)
 チラシを見せてもらったが、キャラクターものとしては可愛いかもしれないけれど、自分で食べきれないほどのドーナツを買ってまで情熱を傾ける必要があるのかとも思う。結局、押しきられるままにドーナツをもらい、天使に食べさせることになった。天使は甘いものが大好きだ。食べるだろうなぁとも確信もあった。そして、今に至る。だが、それでも、京浜のために食べきれないドーナツを買うのはどうかとも思う。
「おまえはどう思う?」
「?」
 問掛けたところで小さな天使は可愛らしく首を傾げるだけ。そして、アリオスの服の袖を掴んで、お代わりの要求をしてくる。
「わかった、わかった」
 幸せそうにドーナツを食べる小さな天使を前にしては、深く考えるのも馬鹿らしくなる。
「また、食わしてやるからな」
 当分は協力させられるのだ。結果的にアンジェリークが喜ぶのなら、それでいいのかもしれない…とアリオスは開き直ることにした。

胃の調子がよくないので、ストラップはもう諦めました。けど、祈願に書いたものなんでw


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