栗色のくせのない髪は櫛をするりと通してくれる。寝癖もしにくい髪なので、扱いやすい。さらさらと流れる遥の梳いて行くのは楽しかったりする。
「ほら、終わったぜ、アンジェ」
「♪」
 朝御飯を食べて、アリオスが仕事に行く支度を終えたら、こうしてアンジェリークの髪をといてやる。これも自然と身についた青年と天使のお約束である。これもまた、コミュニケーションなのだから。だが、最近、アリオスはこれだけのやり取りが寂しい気がしてきた。
(…なんか、寂しいよな……)
 櫛を通しただけでは何と無く物足りない気がする。かと言って、肩にかかるくらいな長さの天使の髪は編んだりするのには長さが少しばかり足りない。
「リボンでも買ってやるか……」
 小さな天使には何色のリボンが似合うだろうか…と一人考え始めるアリオスにアンジェリークはきょとんと首を傾げた。
  そして、帰宅後。とりあえず買ってきたのは黄色のリボン。太陽の色は小さな天使に良く似合う気がしたのだ。
「土産だ、アンジェ」
「?」
 ひらひらした黄色のそれをアンジェリークは不思議そうに見つめる。アリオスは櫛を取り出し、軽く天使の髪をすいてから、それを結んでやった。
「どうだ?」
「♪」
 鏡を見せてやると、アンジェリークは嬉しそうに笑顔を見せる。その笑顔とリボンをつけた愛らしさにアリオスも満足げに微笑んだ。

駄目だ、この人……。


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