熱帯夜が続く八月。冷房はかかせない。ただ、タイマー機能で、一定の時間には切れるようにはしている。つけっぱなしは体にも悪いし、光熱費も怖い。そんな日々をアリオスとアンジェリークは過ごしていた。

 そして、ある日の夜。
「ん……?」
 ふと、アリオスが目を覚ますと、横で寝ていた天使がいない。水でも飲みにいったのかと思い、キッチンで向かう途中でアリオスはリビングのフローリングにぺったりと張り付いて寝ている天使を発見した。すやすやすや……。床で寝ている割には健やかに。けれど、こんなところで寝るのは身体にも悪いし、アリオスが寝ぼけている状態だったら、踏んでしまう。そうなると、すぷらったな話になってしまう。
「こら、アンジェ。こんなところで寝るな」
「〜」
 起こそうとはしても、小さな天使はいやいやとむずがるだけ。仕方なく、アリオスはアンジェリークを拾いあげて、ベッドにもどった。
 それから、時々、アンジェリークが床で力つきているのを回収する日々が続いた。
(何でだ……)
 さすがに疑問を感じ、アリオスは寝た振りをして、天使の観察をしてみることにした。
 今夜も暑い日。クーラーが切れてから、暫くして、天使が寝惚け眼でむくりと起き上がった。
 ぱたぱた…とリビングを通って、キッチンに。水を飲んでから、ふらふら…と力つきて床の上に。フローリングの床はベッドの上よりも冷えている。
「それで、か……」
 一度力つきてから、床が冷たいと体が覚えてしまったらしい。
 対応策は冷房を一晩中つけておくしかない。体に悪いが、仕方がないので、適度な温度に下げて、あとはドライ機能にして、ベッドの上が快適なのだと教えるしかない。そして、夜中にキッチンまで行かずにすむように、ミニ冷蔵庫を部屋に設置した。
 当然のことながら、その夏の電気代が大幅に上がったことはいうまでもない。

クーラーをつけたフローリングの床は程よく冷えてるんだよね……。


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