風呂上がりのビールは最高だ。ましてや、真夏のこの時期は汗を流して、さっぱりしてから飲むこともあり、格別だ。
「ほら、アンジェ。アイスクリームだ」
 冷蔵庫から自分のビールを、冷凍庫からは天使のためのアイスクリーム。
「♪」
 羽が濡れることを嫌うためか、未だに風呂を嫌がり、風呂上がりには不機嫌になる小さな天使であったが、風呂あがりのアイスを与えるようになると、機嫌を良くしてくるようになった。現金なものだと思いつつ、にこにことアイスクリームを食べる小さな天使を前にしてしまえば、そんなことはどうでもいい気になる。
「待ってな、いれてやるから」
 天使のために業務用のアイスクリームを常備するまでになったアリオスは小さなガラスの器に冷蔵庫から出したばかりのアイスクリームを入れてやろうとスプーンを持つ。お風呂あがりのアイスはスプーンで二杯分。
「……」
 不意にアンジェリークがアリオスの手を掴んで、それを制する。
「いらないのか?」
 その問掛けにアンジェリークは首を振る。先にアリオスにビールを飲め、と缶ビールをよたよたと持ち始めさえする。
「何なんだ……?」
 疑問に思いつつ、アリオスはアンジェリークの訴えるままに缶ビールに口をつけた。
「あ……?」
 缶ビールを飲んだ後、アイスをすくおうとして、いつもよりアイスクリームがすくいやすいことにアリオスは気付いた。凍っていたアイスが室温で柔らかくなったためだ。
(それで、か……)
 すくいやすければ、その分、アイスクリームはたくさん食べられることをいつのまにか学習してしまったらしい。
「……」
 まだなの?と、上目使いにおねだりする小さな天使にアリオスは複雑な微苦笑を浮かべて、アイスクリームをよそってやるのだった。

小さい頃の私が元ネタです。覚えてないんだがなぁ……。


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