しゃりしゃり……。手慣れた手つきでアリオスはナイフを果物ナイフを動かす。剥いているのは梨。冷蔵庫で十分に冷やしたもの、た。 医者というせいではないが、綺麗にするするとむいている。ちゃんとつながった梨の皮をアンジェリークは不思議そうに見つめている。
「ほら、食っていいぜ、アンジェリーク」
 四分の一サイズに切ったものを更に小さく一口大にして、一つ一つに楊枝を刺してから、アリオスは自分の側でじっと待っていた小さな天使に声を掛けた。
「♪」
 お許しの言葉に、嬉しそうに梨に飛び付き始めた。シャリシャリと小さな口が梨を怒涛の勢いで消費し始める。
「うまいか?」
「〜♪」
 コクコクと髪が乱れるくらいに頷いている。よほど、美味しいと思っているのだろう。口の周りは梨の果汁でベタベタだ。後で拭いてやろうとアリオスは思った。冷やした梨は美味しいと思うのは当然のことだ。
「さて、俺も食うか……」
 自分の分はまず二つに割って片方をそのまま剥いてからかぶりつく。これが一番楽でいい。果汁が手につくが、これも後で拭けばいい。今は美味いものを楽しむための時間なのだから。
「ん、美味い……」
 未だに残暑が厳しいこの季節にもってこいの果物だとも思う。水分が多くて、甘すぎない。果物の中では好きな部類に入る。 この小さな天使が気に入ってくれていることも嬉しい。
「……」
 食べ終えたらしいアンジェリークがアリオスをじっと見上げている。おかわりの要求らしい。
「わかった、わかった……」
 仕方なさそうな口ぶりでありながら、梨を剥くその表情はどこか楽しそうなものだった。

こうして、天使は餌付けされているんですね。


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