甘いお誘い


 コンビニエンスストアでバイトをしていると、当然、季節の商品には詳しくなる。2月に入ると途端に売れてゆくチョコレート。いわゆる
バレンタイン商品である。コンビニでも、手軽に変える値段で、それなりの商品は置いてある。だが、それとともに不可解な客が増えて
いる事に竜は気づいた。

「あの…バレンタインの日はバイトに来てますか?」
「甘いものはキライですか?」
 レジの最中に尋ねてくる客を無下にする事も出来ず、取りあえず返事を返す。すると、キャッキャッとはしゃいでいる。
(なんなんだ……)
 訳がわからないが、取りあえず、害はなさそうだとは思う。竜にとっては、宇宙人より、理解できない人種なのかもしれないのであった。

「そりゃ、バレンタインのリサーチだろうが……」
 竜から、その話を聞いた炎は呆れてしまう。確かにルックスは極上だ。黙っていれば…の話だが、よく考えたら、彼は無口で無愛想。
そういうところがクールに見えるのだろう。

「リサーチって……」
「おまえにやるためにだろ?」
 なんで、自分がここまで答えなきゃいけないのか。そういう少女たちは一応はライバル…になるのだから。
「おまえは?」
「今更、聞いてどうするんだよ……」
 何年の付き合いだと思っているのだろうか。彼が洋菓子よりも和菓子の人間で、いつもこの時期は栗ぜんざいをおごってやっていると
いうのに。

「そうじゃない。おまえはそういうことを聞かれないのか?」
「別に……」
 なんせ、いつもコンビニ弁当で、お菓子もついでに買っていて。それを周囲に振舞いもするから、好みは結構知られていたりする。
「それなら…いい……」
「もしかして、心配してた…とか?」
「……」
 炎のその言葉にぷいと顔を背け、小鳥を呼び寄せてしまう。
「……素直じゃない奴」
 苦笑しながらも、こういう彼を見るのは自分だけだから。コンビにに常連で来ている女の子たちよりも、はるかに近い位置にいるのだ。
 バレンタインデーの日はまた栗ぜんざいを食いに誘おうと心の中で思う炎であった。

久々の創作です〜。しかし、だんだん、この手のものが書けなくなっている自分がいる……。