いい歳
「ちょうだい」
「やれるか」
一枚の絵を巡って、終わらない押し問答が才色兼備の新宇宙の女王補佐官と金と緑の瞳を持つ守護聖との間で
繰り広げられていた。
描かれているのは名もない画家に描かれたアルカディアの光景。視察でアルカディアに降りたアリオスが珍しく
気に入って買ってきたのだ。ありふれた風景画のようでいて、どこか人をひきつけてやまない。アリオスは転生前の
育ちが育ちなために、それなりの審美眼を持っているのだ。
「俺が気に入って買ったもんを何でやらなきゃいけねえ」
「いいじゃない〜」
後は現在の通りで。その絵をレイチェルも気に入ってしまい、譲れと聞かないのだ。
アルカディアは彼等にとって思い出の地だ。懐かしく思うのは無理はないが、譲ってやる義理はない。
「何よ、ケチ! ウォッカ臭い部屋に飾られたんじゃ絵も可哀相だよ」
「人を酒飲みみたいに言うんじゃねえよ」
「だって、ホントのことでしょうが」
「俺のは嗜むってんだ」
傍から聞くととても宇宙を司る女王に近しい存在の会話に聞こえない。
「もう、二人とも何の言い争いなわけ? 廊下まで聞こえてるわよ」
呆れたようにアンジェリークが顔をのぞかせる。アリオスが視察から帰って来たのに、姿を見せないし、レイチェルは
席を外していないので、女王自らが探しに来たら、これである。そして、彼女の存在に真っ先に動いたのはレイチェルで
あった。
「アンジェ、聞いてよ〜。ワタシよりも12歳は年上のアリオスが物凄く大人げないの〜」
「おい……」
ご丁寧にも『12歳年上』を強調されている。
「あの、どういうこと?」
わけが分からずアンジェリークは首を傾げ、アリオスに答えを求める。
(殴ってやろうか……)
してやられた形になったアリオスは思わずそう考えた。。
これ、後輩にやられました。殴ってやろうかと思ったわ。
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