甘やかせる

「依織くんはあたしを甘やかしてるよ」
「そうかな?」
 依織に入れてもらったハーブティを飲みながら、そう言ってくる恋人を愛しい視線で見つめる。
「あたしが子供だから、甘やかすの?」
「お馬鹿さんだね……」
 子供っぽいというのはむぎにとってのコンプレックスなのだろう。四つの年齢差があるのだから、多少のそれは仕方ないのかもしれないとは思っているのだろうけれど、依織の過去のことを知ってるからこその不安。
「君は甘える子じゃないだろう? だから、甘やかしたいんだよ」
「……そうなの?」
 あどけない瞳で見上げてくる。不意に重なるのは夏の日に出会った小さい頃のむぎ。泣き虫で甘えん坊だった。今のむぎからは考えられない一面。それでいて、負けず嫌いだったり、結構しっかりしていたり。前者はむぎが成長するに従ったのはあるけれど、姉が行方不明になり、両親が死といった騒動から、それは捨てざるを得なかったのだろう。無理やりに強くならざるを得なかった部分があったかもしれないことを考えると、無条件で甘えさせたいとも思うのだ。自分の腕の中では甘えていいのだ、と。
「だって、甘えるのが癖になったら、我侭になっちゃう」
 何とも可愛い言い分である。そういうことを考えられる間はちっとも我侭ではないのに。
「僕は甘えて欲しいけどね。君に甘えてるから」
「あたしに? 依織くんが?」
 きょとんとするむぎを抱き寄せて、膝の上に。最初は恥ずかしがっていたけれど、すっかり馴染んでしまった。心を赦してくれていることに依織は嬉しく思う。
「こうして、君を抱きしめて、僕だけのものにして。僕だけしか知らない君をたくさん知ってるだろう?」
「……!!」
 その言葉が意味するところを深読みしたのか、むぎは真っ赤な顔になる。
「お姫様にそんな顔をさせられるのも、僕だけの特権だし」
 そう囁いて、依織はむぎの頬にそっと口付けた。

フルキスで依織×むぎ、でした。むぎたんにあまあまないおりんが大好きですvvv