「譲くんは緑の指を持ってるんだよ」
「緑の指?」
 聞き慣れない言葉に、龍の化身たる白龍はあどけなく首を傾げる。
「植物を育てるのが上手な人のことをそういうの。だから、ほら、お花が綺麗でしょう」
 譲が手入れした梶原邸の庭には望美が好きな花が色鮮やかに咲き誇っている。
「うん。綺麗。でも、神子はもっと綺麗。これも譲の緑の指の力?」
「それはかなり違う……」
 困ったように譲は笑うしかない。
「でも、俺だってそれほど手入れが出来たわけじゃないから。戦の時は邸の人に世話をしてもらったし……」
「そんなことないよ。花からも譲がきちんと手入れをしてくれたって気持ちが伝わって来るから」
 万物の流れを統べる龍の化身は人ならざるものの気持ちをも感じ取れるらしい。
「花たちは神子への譲の気持ちに答えてくれたんだよ」
「は、白龍!?」
 白龍の言葉に譲は真っ赤になって慌てる。
「譲くんの気持ち?」
「うん。神子が喜んでくれるようにって、譲が願って世話をしたから、花たちも譲の気持ちに答えたんだよ。だから、神子が喜んでくれて、嬉しいって言ってる」
 白龍の言葉には嘘はないからこそ、いたたまれない気分になる譲である。
「ありがとう、譲くん。嬉しい」
 花のようにふわりと望美は笑う。その笑顔に、譲も心に暖かい何かが溢れてくるのであった。自分の育てた花が望美に喜んでもらえる、それでいいのだと思った。

緑はまず彼が浮かびました。緑の指は望美ちゃんのためだけに存在するのですw