| 仕事から帰って来たセレストを待ち受けていたのは黄色の着ぐるみに包まれた小さな王子様だった。 「……カナン様。その格好は?」 「うむ、ヒヨコ気取りだ」 「ヒヨコ…ですか」 よくよく見てみれば、そう見れないこともない。この小さな王子様はその時のご機嫌次第で色々な姿に気取ってしまうのだ。 「そういうわけだから、僕はすりこみを実行する!」 そう言うや否や、カナンは水槽から飛び出してしまった。 「カナン様?」 「すりこみだからな! セレストの後ろをついてまわってやる!」 ちまちまと歩く姿は本当にヒヨコそのものである。 「ヒヨコにはすりこみはないと思いますが……」 「とにかく、僕はセレストから離れないんだ!」 癇癪のように言って聞かない小さな王子様にセレストは困惑するしかない。わんわんきどりやにゃんにゃんきどりの時とは何かが違う。ふと、思い当たったことを実行すべく、セレストはゴミ箱を探って見る。 「馬鹿者、何を!」 慌てても、後の祭り。通販の注文書にはヒヨコ着ぐるみセットと書かれていた。 「カナン様……」 「セレストが悪いんだからな! 僕に寂しい思いをさせて! だから、僕は離れないんだ!」 着ぐるみなので、ビシッと指差すことはできず、羽全体でこちらをさす様子は悪いとは思うが、可愛らしくてついつい笑みを零してしまう。 「何がおかしい!」 可愛らしくにらみ付けて来る小さな王子様をセレストは両手で大切そうに手のひらで包み込み、持ち上げる。 「寂しい思いをさせてしまったようですね……。申し訳ありません」 「謝って済むなら、騎士団は要らないんだぞ!」 「私も騎士なんですが……」 苦笑するしかないセレストである。 「お詫びに次の日曜日一日カナン様に捧げます」 「……本当か?」 「もちろんです。お嫌ですか?」 「嫌な訳ない、馬鹿者」 むぅ…と、見上げてくるヒヨコな王子様にセレストは限り無い愛しさを込めた笑顔を浮かべた。 |
黄色はカナン様! コレは譲れず、ちっちゃ王子とセレストですw