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| 『あなたの故郷の宇宙は滅びたかもね』 そう告げられたその言葉がアリオスの耳から離れない。未練などないはずだった。もう、自分はあの宇宙とは 関係ない、と、割り切っていたのだ。それでも、胸が痛むのは郷愁なのか。己の罪からもたらした痛みなのか。 アリオス自身にも答えは見つからない。 復讐のために始めた反乱だった。自分から、大切なものを奪ってゆく者への鉄槌を、と。その思いから始まった 嵐は、暴風雨となって広がって、色々なものを傷つけた。 後のことを考えていなかったのか? そう問いかけられたら、あの頃の自分はどうだっただろうと考えてみても、 しかたがない。ただ復讐のためで。それ以外のことは考えていなかったのだ。ただ、目の前であの男を這いつく ばらせタイ、と。 今だったら、ばかげていると一笑しただろう。そうしたって、エリスが喜ばないということも。それでも、走り出した 歯車はいまさらながらに止められなかった。アリオスの前に天使が降りてくるまでは。 コンコン。遠慮がちのノックの音に思考を現実に引き戻される。 「アリオス、いる?」 「ああ。入って来いよ」 返事をすると、アンジェリークが部屋の中に入ってきた。目的の理由は一つ、だ。 「さっきのことなんだけど、やっぱり、気になっているの?」 「別にそう言うわけじゃ……」 曖昧に言葉を濁してみても、ごまかせるはずもない。 「あくまでも、可能性の話よ? それに、仮にそうだったとしても、あなたが反乱を起こしたからじゃないわ」 そう言って、アンジェリークはアリオスをまっすぐに見上げてくる。 「さっきも言ったけど、疲弊したシステムだったからこそ、あなたの反乱はかなり大きなものとなっていたと思うし。 そして、結界を張ったんでしょう? 閉ざされた世界はいずれ、滅びるしかないのよ」 言葉はかなり辛らつに聞こえる。それは宇宙を導くものとしての視点だからだろうか。 「そう考えてみれば、ラ・ガに狙われたのが、この宇宙で良かったのかもしれない……」 「アンジェリーク?」 その言葉に耳を疑うアリオスにアンジェリークは言葉を続けた。 「だって、あなたの故郷の宇宙にラ・ガが狙われたのだったらもっと大変なことになっていたかもしれないわ。混乱 している宇宙につけこんだ方が早いじゃない。違う?」 問イ掛けられれば、違うとは言いきれない。あのアルカディアの中で、比較的穏やかな日々でいられたのは、 アンジェリークの存在だけではなく、金の髪の女王や、彼女に仕える守護聖達、協力者達の存在があってこそ。 「確かに、あの皇帝の宇宙では、か……」 皇帝が絶対的な権力を誇る宇宙。覆されることなどなかったシステムが一時は崩壊寸前までいって。それを 防げたからと言って、全てが元通りとは限らない。混乱は互いを疑心暗鬼に陥れ、さらに混乱を呼び込む。 「そう言う意味ではラ・ガに試されていたのかもしれないわね、私たち……」 そう言って見せるアンジェリークの瞳は毅然とした女王の瞳、だった。 |
また、書いてしまいました。似非シリアスです。なんでか思いつくのがこういうのなんだな……。
|| <Going my Angel> ||