Hometown

 故郷のことを振り返ったことはなかった。復讐の気持ちは転生した今となってはどこかに失せてしまった。
だから、かもしれない。振り返ることがなくなったのは。今は栗色の神の天使が治める宇宙がアリオスの故郷で。
あの宇宙はもう、関係がないのだから……。



「アナタの故郷の宇宙は滅びるんじゃないかな……」
 レイチェルの言葉にアリオスの胸が痛んだ。懐かしいと思うような故郷でもない。転生した今では、縁が切れて
しまったといってもいいのだ。

 ことの始まりはアンジェリークとレイチェルに請われ、アリオスは転生前の自分の故郷の話をしたことだった。アン
ジェリークたちが知りたがったのは女王でなく、皇帝が治める宇宙の制度、だ。皇帝はこの宇宙の女王システムと
違い、世襲制であること。その手には絶大な権力を握っていることなどを手短に、だ。

「じゃあ、宇宙の意思とかは関係がないの?」
「そんなもの、聞いたことがなかったな。この宇宙ではあのケダモノで、あの女王の宇宙は神鳥がいるんだったな」
「ケダモノって、アナタに言われたらおしまいだよ……」
 レイチェルの言葉にムッとしはするものの、相手にすれば同レベルだと自分に言い聞かせる。
「じゃあ、皇帝ってのは宇宙を導く存在であり、為政者でもあったんだね?」
「まぁ、そういうことになるな。結構、そのシステムは頑丈だったな。一回は崩壊寸前まで追い詰めたはずなのに、
結局足元をすくわれちまったからな」

 アリオスの言葉にアンジェリークとレイチェルは顔を見合わせた。女王とその補佐官といっても、まだ少女だ。こんな
風に血なまぐさい話をするべきではなかったかもしれない。まして、この宇宙はそのような生臭い世界ではなく、お伽
噺の楽園だ。

「ああ。軽蔑したか?」
「そうじゃないわ。ただ、それじゃあ……」
 そうして、冒頭のレイチェルの発言と相成った。
「俺のせい、か?」
 その言葉にレイチェルとアンジェリークは首を振った。
「崩壊寸前まで、皇帝が為政者というシステムが追い詰められたんでしょう? つまり、そこまで皇帝に対する不満が
どこかであったわけよ。当然、その後の締め付けは厳しくなるでしょうけど。それもどこまで持つか……」

「クーデターがそこまで言ったってことはシステムも結構疲弊して立ってことだし……」
 そう言って、話を進める二人の少女はアリオスの知らない表情だ。
「アナタが悪いわけじゃないんだよ? いつかは来る崩壊が早まっただけ。宇宙はものじゃないからね。自分の治める
べきものでないものはいつか排除するから。そして、新しいものを探すだけ。それが民衆からなのか、別の生き物なの
かは、その宇宙しだいだよ」

「……ああ」
 それがフォローなのか、そうでないのか。考えてみても仕方がない。けれど、それでも、思わなくはない。もし、自分が
クーデターを起こさなければ、あの宇宙はそれなりに平和に続いていたのだろうか、と。

「でも、そうでなかったら、出会えなかったわよ。私たちは」
 アリオスの意図したところに気づいたのか、アンジェリークがそう告げる。その言葉に、少しだけ救われた気がした。

これは天空が出た直後から考えていたことで。レヴィアスの故郷の宇宙は滅びるか、皇帝制度が廃止されてるかだと思うんですよ。
宇宙がふさわしくないものたちを排除した形でね。レヴィアスは宇宙に利用されていたのかもしれない……。

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