苺ミルク
赤い苺に白いミルクは彩的には最高だろう。だからと言って、それをおやつとして差し出されることには抵抗が
ある。
「美味しい〜」
つみたてに苺に練乳とミルクをかけたものをおいしそうに食べるアンジェリークに対し、アリオスはげんなりと
した表情。
「食べないの、アリオス? 苺、嫌いだった?」
「いや、苺は嫌いじゃねえよ。ただ、なんで、ミルクをかける?」
「だって、美味しいじゃない」
「俺はそのままがいい」
執務の合間の楽しみと言えば、三時のお茶の時間である。今日のおやつは苺に練乳とミルクをかけたもの
だった。美味しそうに食べるアンジェリークに対し、アリオスは手をつけようともしない。
「これも美味しいのよ?」
「お前、味覚がどうにかしてないか?」
ついつい愚痴ってしまうのも無理はない。甘いものがあまり好きではないのだ。苺そのままが美味しいのに、この
おやつは甘ったるすぎる。
「じゃあ、苺を出してもらう?」
「ああ。そうだな。俺の分はお前が食えよ」
半分近くなくなった、さらに自分の苺を移してやると、アンジェリークは嬉しそうに笑う。単純だなと思いつつも、
喜ぶのなら、悪くないと思ってしまうあたり、末期かもしれない。
「こんなに美味しいのに、もったいないなぁ……」
そう呟いて、アンジェリークは側に仕えていた女官に苺を持ってくるように頼むと、女官はわかりましたと告げて、
部屋を出て行った。
「美味しい♪」
おいしそうに食べるアンジェリークを苦笑交じりで見つめていると、ふと、アンジェリークの唇の端にミルクが着いて
いるのが見えた。薄くルージュを塗った唇はほんのりと苺色。そして、白いミルク。
「…こういう苺ミルクなら、食ってもいいかも、な」
「え?」
アリオスの言葉にアンジェリークはキョトンと首をかしげる。そんなアンジェリークに構わず、アリオスはアンジェ
リークに口づけた。
「〜」
軽く舌を絡め取って、十分にその味を楽しむと、アリオスは唇を離す。
「やっぱり、甘いな。これ……」
「アリオスの馬鹿〜」
数分後、苺を運んできた女官が見たものは顔を真っ赤にして怒っている女王とそれをおかしそうに見つめる女王
側近の騎士であり、首座の守護聖の姿。けれど、それもまた日常なので、深くは追求せず、そのまま苺を置いたので
あった。
この話の元は、友人に書いた不二×菊話だったりします。同じテーマでアリオス・アンジェを書いたらどうなるかな…と思い、
書いてみたら、こんな話に。だって、アリオスだしね。
|| <Going my Angel> ||