てるてる坊主

「う〜」
 水槽越しに覗く外の光景に小さな王子は不満顔。
「カナンさま、カップケーキですよ」
 大好きなカップケーキを出されても、機嫌は直らない。ますます外をにらむだけである。
「おやすみは次もありますから。ご機嫌を直していただけませんか?」
「馬鹿者! 今日と言う日はこの日しかないのだぞ」
 理屈付ける小さな王子様にセレストは困ったように笑う。
 晴れたら散歩に行こうと約束したのに、梅雨に入ってしまって生憎の雨。雨脚が弱ければ、レインコートを着てお散歩もよかったのだが、土砂降りであるから、それもかなわず。こうしてふて腐れるしかない。
「カナンさま」
「?」
 不意に目の前に置かれた真っ白な物体にカナンは戸惑う。
「てるてるぼうすです。つるすと晴れるそうですよ」
「そうなのか? じゃあ、僕も作る!」
 機嫌を直したカナンに材料を渡してセレストも笑う。退屈な雨の日はてるてる坊主作成の日と相成るのであった。

部屋の中がてるてる坊主だらけになりそうw