メロンゼリー
「ぷるんぷるんだ」
ボオルをそのまま型に使ったそれはそれは見事なメロンゼリーはお皿の上でぷるんぷるンと鎮座している。思わず、華南も歓声を上げてしまう。
「ふふふ、メロン一個を丸々使ったの」
作った本人であるリナリアは満足げな顔をしている。
「ようやく長い雨が上がったと思ったら、こんなに暑いんだもの。暑気払いにゼリーパーティーはいいかなって思ったの」
「僕は賛成です」
姉姫の素敵な提案をこの弟王子が賛成しないはずがない。リナリアの作る素朴なお菓子をご相伴に預かると言う恩恵をずっと預かっているのだから。
「セレストも食べてね?」
「え? 私もですか?」
姉弟のほのぼのお茶会に従者である自分が参加するのは…と、思ってしまうセレストにリナリアはニコニコと告げる。
「ええ、そうよ? メロンを丸々一個使った特製だもの。私とカナンとお兄様だけじゃおなか一派になって、夕食が食べられなくなるわ。アルネストにも声をかけたから」
「はぁ……:
上司であるアルネストはきっとにこやかな笑顔で承諾するのだろう。上司が従うのに、自分がいやだと言う権利はない。それに、リナリアの作るお菓子はセレストも好きだったりする。
「今度はスイカを丸々使ったフルーツポンチを作るの」
「スイカですか? じゃあ、僕が調達してきます!」
きらきらした瞳で言うカナンに頭を抱えたくなる。
「駄目ですよ。スイカはちゃんといいスイカを作ってくださる農家の方が持ってきてくださるんですから」
「むぅ……」
しっかりと釘を刺すセレストにカナンは少しばかり、むっとした顔になる。そんな二人のやり取りをリナリアはくすくすと笑いながら見ていた。