草冠に明るい

「お前の萌えは小さいものか? あ、萌えは草冠に明るい萌えだぞ」
「はぁ?」
 いきなりのカナンの言葉にセレストは反応に困ってしまう。だが、カナンの瞳は真剣である。
「何をおっしゃるんですか?」
「JAPANで昔宮仕えしていた女性のエッセイを今日の講義でやったんだが。お前も宮仕えみたいなものだろう? だから、同じ感覚かと」
「ああ、ピローノートですね」
「そうそう」
 JAPANの宮廷に使える女性が書いた古典文学である。
「でな、そこに書いてあったんだ。小さいものはみんな可愛いと」
「はぁ。で、そこになぜ、私の萌えが?」
 ますますわからないという顔をするセレストをカナンは真っ赤な顔でにらみあげた。
「だって、お前…いうじゃないか……。あの時……」
「……あ」
 確かに、気をつけた入るが、いってしまうその言葉。
「僕は身長は高いとはいえないし、お前から見たら小さいし……」
「……違います。カナン様を愛しいと思うからこそです。仕方ないでしょう。口から自然にこぼれるんですから!」
「むぅ。恥ずかしいことをいうな」
「言わせたのはカナン様です」
「むぅ」
 真っ赤になった顔を隠すためにか、セレストの胸に顔を押し付けるカナン。そんなしぐさに愛しさが生まれだす。そして、思うのだ。「可愛いなぁ」と。セレストの胸に顔を押し付けている状態では、カナンには今のセレストの表情は見えない。言葉にする代わりに、とろけそうになる顔を必死で我慢するセレストであった。


何となく書いたあほ話……

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