属性
| 長年の付き合いがあるとはいえ、この主のやることは突拍子がない。 「どうだ? にゃんにゃん気取りだ!」 「はぁ……」 猫耳と尻尾をつけて、得意げにしているカナンに対し、セレストは疲れたような溜め息をつく。 「似合わないか?」 「いや、何とも……」 主に対し、にゃんにゃんみたいですねとも言えるはずもないし、王族である自分の立場を考えろと言ってみたところで、聞いてくれるかと言えば、そうではない。 「お前にも用意したんだぞ」 「はぁ?」 と、とんでもないことまで言い出すのだから。 「おまえにはわんわんだ!」 「あのですね〜!!」 嬉しそうに犬耳を取り出すカナンにセレストは今度こそセレストはお説教モードに入ろうとする。 「気に入らないのか?」 「気に入る、気に入らないの問題ではなく……。お立場をお考えになるまでもないでしょう? だいたい、カナン様は通販で余計な物を買い過ぎです」 くどくどと続きそうなお説教をカナンは聞くはずもなく、次の一手をすかさず差し込んで来る。 「通販で買ったのではないぞ。姉上のお手製だが?」 「はい?」 「僕と兄上にと作ってくださったんだが、アルネストがわんわんの耳は兄上よりセレストが似合うだろうから、と言ってな。ちなみに姉上はうさ耳だ!」 姉上も似合うだろうなと無邪気に語るカナンとは裏腹にセレストは己の直属の上司をひたすら恨みたい気分になる。いわば、上司命令に逆らえるはずもなく。 「わかりました……」 と、謹んでわんわんの耳をつけるしかなかった。 にゃんにゃん耳姿の主とわんわん耳姿の自分。頭を思い切り抱えたくなる。 「あら、よく似合う〜」 姉姫は嬉しそうに笑う。 「やっぱり、カナンはにゃんにゃん属性ね〜」 「そうなんですか?」 「ええ。セレストはわんわん属性だと思っていたの」 にゃんにゃん耳とわんわん耳制作者の姉姫、リナリアは嬉しそうに笑って。カナンも嬉しそうに笑って。 「姉上の分はないのですか?」 「私はこれ。うさぎ耳なの」 垂れ耳うさぎのヘアバンドを嬉しそうにつけるリナリア。 「今日はメルヘンなお茶会にしたかったの」 リナリアが用意した焼き菓子はいつもの素朴なものに比べて、かわいらしい飾り付けをしてある。 「楽しんでね」 「はい」 ほわほわという空気に包まれて、楽しいお茶会が始まろうとしている。これ以上、突っ込んでも無駄だとセレストはため息をついた。 |
ほわほわw リナリア様には敵いませんw