Tight


 しゅる…衣擦れの音が妙に響く。
「や……」
 むせ返る花の香り。色とりどりの花が咲く地面に押し倒されて、素肌を暴かれることにアンジェリークは身じろいで、抵抗の意を示す。
だが、自分を押さえつけているアリオスの力に敵うはずもなく。かえって、その行動が青年を煽らせることに気づいてもいない。
「やだってば……」
「黙ってな」
 そう言い切ると、アンジェリークにそれ以上の言葉を紡げなくさせる。深く奪う口づけ。少女の口内にやすやす入り込んだ舌は、逃げ
回る少女のそれを追いつめて、捕えて、絡めとって。少女の身体から抵抗する力を奪いとってしまうまでそれは続けられる。
「ん〜」
 それでも、力の入らない手で、アリオスを押し退けようとするアンジェリークの両手を片手で軽々と押さえつけて。どうしようもない
状況に追いつめてゆく。
「ふぁ……」
 ようやく、唇が離れると、二人の間にツ…と銀色の糸が引く。それに気づき、少女の頬が紅潮する。
「どうした、アンジェリーク?」
 意地の悪い笑みでアリオスがその瞳をのぞき込むと、気丈にも睨み付けてくる。もっとも、口づけに酔いしれた瞳では、嗜虐心を
煽る効果にしかならないのだが。
「あんまり、暴れると、服がずれ落ちるぜ?」
「!」
 気がつけば、背中のファスナーは全開で、肩が半分露になっている。
「それとも…俺を誘ってんのか?」
「だ、誰が!」
「遠慮すんなよ」
「や…ん……」
 抗議の声は再びアリオスの唇に飲み込まれる。否応なく、素肌が暴かれてゆく。
「ちょ…ここ、外……!」
「誰も、来ねえよ」
 元々、人が訪れることの少ない場所。まして、こんなふうにコトに及んでいるカップルを見つけたら、遠慮して去って行くのが人情と
言うものである。
「そんな問題じゃ……。きゃ……」
 鎖骨に口づけられ、言葉が途切れる。それをいいことに、アリオスはアンジェリークの素肌に紅い花を散らしてゆく。
「や…だ……」
 力が入らない腕で、押し退けようと青年の肩に手をかけても。それは叶わない。
「ったく…素直に感じてろよ?」
 吐息ごと、耳に入り込んでくるテノールの声。直接、脳髄に響くそれに少女の身体が大きく跳ねると、そのまま耳朶を甘噛みされる。
「…ぁ……」
「手が邪魔だな。どけろよ」
「やだ……」
 露になった胸元を必死で隠す腕に手をかけても、これだけは譲れないとばかりに首を振っていて。力ずくか…と考えを巡らせつつ、
少女の華奢な足首に視線が移る。
「…靴なら、いいのか?」
「……?!」
 アリオスの真意を図りかねている間もないほどあっさりと、靴を脱がされる。素足になった爪先に、足首にと余すところなく、口づけ
られる。
(や…足なのに……)
 足の指先を一本ずつ丁寧に舌が這わされる。思いも寄らないところから、もたらされる感覚にアンジェリークの意識が反らされて
ゆく。それを見逃さないアリオスではない。
 グイッッ! 不意に足が引かれる。バランスを崩しそうになるのを何とか留まるが、スカートが捲り上がり、太股が露になる。
「キャ……!」
 周章てて、スカートを押さえようと片手を伸ばすのだが……。
「甘いな」
 ニヤリ、と笑いながらのその声に、ゾクリ…とする感覚が背中に走る。
「は、離して!」
「さて…ね」
 胸を隠していたもう片方の手も掴まれて。靴の紐でひとくくりにされてしまう。
「やだ…こんなの……!」
 泣きそうな声で抗議しても、それは彼にとっては予想していた反応で。より泣かせたくなる。そんな極上の誘惑。無意識に誘ってる
事すら、知らないのだ。
「黙ってろよ。ここ以上の楽園につれてってやるぜ」
 アリオスの手が…唇が、アンジェリークの身体に触れてゆく。知り尽くした指先はじわじわと少女を追い詰めて行く。
「あ…ん……」
 柔らかな膨らみを大きな手で包まれて。弾力を楽しむように強弱をつけて、触れられてゆくうちに、胸の頂に変化が訪れる。それを
指で挟み込むようにして摘むと、おもしろいように身体が跳ねる。
「ん…っ……!」
 濡れたものがもう一方の頂に触れる。チュッ…と音を立てて吸われ、軽く歯を立てられたり。そのたびに少女の身体は過敏に反応
する。
「お願い…これ、外して……」
 腕を縛られた不自由な身体ではアリオスに翻弄されるしかなくて。だが、アリオスの反応はしれっとしたもの。
「外したって、やることは一緒なんだから、別にかまわないだろうが」
「そんな…私ばっかり……」
 両腕を拘束されたあげく、服を乱され、素肌を露にされて。恥ずかしい思いをさせられているのに。涼しげな顔で自分を追いつめて
くるアリオスがとても憎らしい。
「お前ばっかり…か。じゃあ、俺も手を使わなければ良いな」
「え?!」
 思いもよらない言葉が帰ってきて、アンジェリークは慌てて不自由な身体をひこうとするが、アリオスの足で、それはさえぎられる。
「や、やだ……」
 言葉どおりに、口に布地をくわえられ、脱がされてゆく。
「なんだよ、リクエストどおりにしてやってるんじゃねぇか」
「だ、誰もそんなこと言ってない……。きゃあっっ!」
 中途半端にまくり上げられた状態のままだったスカートを唇でたくしあげられ、脚のつけねに口づけられる。言葉通りに手は使って
いない。足を押さえることもしていない。だが、固まったままアンジェリークは動けない。
「や…ヤダってば……」
 下着すら同じ状態で脱がされて。中途半端に引っかかった状態のまま、秘所に顔が埋められる。
「……っ!」
 アリオスがもたらしたものはぴちゃぴちゃとした水音。そして…快楽。羞恥とともにもたらされたそれに堪えようとアンジェリークは
必死で唇を噛む。
「何だよ、聞かせろよ……」
「や……!」
「じゃあ、おまえの声を聞けるまで続けるまでだな」
 不自由な体勢のまま強いられるその行為にアンジェリークは気が狂いそうになる。翡翠の瞳から、とめどなく零れる涙。
「何泣いてんだよ」
「お願い…アリオス……」
「何が…だ?」
 ニヤリ…と笑ったその表情がとても悔しい。けれど、追いつめられたこの身体をどうにかできるものアリオスだけだから。
「この手をほどいて……。言うこと…きくから……」
「それだけでいいのか?」
 意地悪な囁き。けれど、この声に抗えるはずもなくて。
「アリオスに…ちゃんとされたいの……」
 天使の唇から零れた堕天の言葉にアリオスは満足げに微笑んだ。
「最初っから、素直にそう言っとけよ?」
 シュルリ…と、腕の拘束が解かれる。赤くにじんだ跡に舌を這わせる。それすらにも、反応して。
「あ…ん……」
 丁寧に指先を舐られる。そんな事にすら反応してしまう自分の身体の変化。アリオスによって、花開いた極上の蜜を持つ肢体。
「そのまま、力抜いてろよ」
 ゆっくりと足が開かれる。熱い熱が入りこんでくる。
「あっ、ああ!」
 自分を狂わせる熱の感触にアンジェリークはアリオスに必死にしがみつく。そうしなければ、狂ってしまう。そんな予感。アリオスは
少女の中の熱さに満足げに唇の端をあげて笑う。この極上の肢体の味を知るのは自分だけ、そんな優越感にも浸りながら。
「ほら、もっと聞かせろよ……。ほどいてやったんだから…な」
 少女を追い詰めるために、そして、自分自身をも熱くなるために激しくなる動き。ただ、アンジェリークは翻弄されるだけ。
「あ、ヘン…。いやぁっっ」
 狂ってゆく。この熱さの中に捕われて。自分が自分でなくなってゆく。そんな感覚に追い詰められてゆく。
「アリオスっっ」
 必死でしがみつく。けれども、相手は確実に自分を追い詰めてゆく。どこまでも灼熱の中にとりこまれて。
「んっ、ぁっっ、ア―――」
 捕われた天使は頂点まで上り詰めて、そして、ゆっくりと落ちてゆく。自分を捕らえた相手の元に。二度と、飛びたてぬように…と。
同時にアリオスもアンジェリークの中に熱を吐き出す。アンジェリークの中に自分自身を満たして。
 自分の中で意識を失った天使を愛しげに抱きしめると、アリオスは優しく口づけを落とす。そして、首筋にも。赤い刻印は天使が彼の
ものだと言う証。そう、誰にも譲れない、ただ一人の……。。



いや、もう原稿に追われていて、更新が出来ないので、表に出すつもりのなかったこれを出しました。一部の人しか知らないし、書き足したし、
赦してください……