部屋とワイシャツと私

「JAPANの曲で「部屋とワイシャツと私」という曲があるんだがな。その歌詞が解せんの」
「そういう格好で、夜更けに人の部屋に乱入して、何の話ですか?」
「気にするな。これもお前のための男の浪漫だ」
「あのですね〜」
 一日の疲れを落とすべく、風呂に入って、戻ってきたら、主が部屋で待ち構えていた。しかも、なぜだかフリルのエプロンつきである。
「幼な妻も男の浪漫じゃないか。僕は残念ながら、それはかなえられそうにないがな」
「そういう問題ですか〜〜」
 絶叫したくなるのを何とかトーンを抑えてしまうのは、宿舎の部屋であるから、隣近所に聞かれてしまうとまずいからである。
「お前は疑問に思ったことないのか?」
「何をですか?」
「部屋を磨くのもわかるし、私を磨くというのもわかる。だが、ワイシャツは磨きようがないと思うのだが。僕はそれが非常に気になって仕方ない!」
「追及する問題じゃないです……」
 あの曲はかわいらしくもちゃっかりとした女性の結婚観であると思う。それでいいではないか、と思うのだ。だが、この好奇心いっぱいの恋人はそれだけでは済まされないらしい。
「僕は男の浪漫を追及したいんだ。だから、そういう部分でも理解を深めたいと思うんだ」
「女性心理まで理解してどうするんですか……」
「だって、幼な妻だぞ? お前のための男の浪漫だからな」
「……結構です。お送りしますので、お帰りください」
「え〜〜〜」
 文句を言いそうになるカナンに深くため息をついて。セレストはどうやって、人に気づかれぬようにカナンを送るのか思案するのであった。



男の浪漫シリーズです。流石に、これは同盟には投稿するのを躊躇いまして。流石に、いらんやろ…と思ってました。
あほですね。はい。カナン様のあの歌の疑問は昔の私の疑問でしたよ。はい。