Sun Flower
弟であるスイに掛けられた呪いを解くために、世界中の男の子モンスターを集めるという、果てしのない 旅の途中、白鳳は一つの花に出会った。 人間ではないから、出会ったという表現はおかしいのかもしれない。けれども、白鳳から見れば出会った という方がしっくりするような気がした。 広い草原の中で一人きりでたたずむように咲いている一輪のひまわり。太陽に向けて、その存在を誇示 するかのように。 (まるで……) ある人物を想像しかけて、白鳳は苦笑する。だが、彼ほど今ここで咲いているひまわりの姿に似つかわ しい者は思い浮かばない。 太陽に真っ直ぐに向かう、懍とした姿。大きな存在にただ一人で立ち向かうかのように。その姿はやはり 思い起こされる存在がいて。どうしても、離れない。 (あの瞬間の坊ちゃんに似ているだ、なんてね……) 真っ直ぐな瞳だった。強い意思を宿した瞳。世界中の運命をその一身に背負った時も、その瞳から強い 光は消えなかった。白鳳にはけっして持てなかった傲慢なまでの強さ。それがひどく憎らしくて、そして、 羨ましかった。 ひまわりを包み込むのはどこまでも青い空。この空があるから、ひまわりは自由に咲き誇る。 (まいったな、本当にセレストと坊ちゃんだ……) ひまわりを包み込む空のように、王子の側には従者がいて。気付いていただろうか? いや、もう気付いているはずだ。少年が自由な魂を持ち続けられるのは常に傍らにいる青年の存在がある からだと……。 「もちろん、敗北を認める気はありませんけどね……」 呟いて、白鳳はひまわりを見つめる。 「どうせ、また会うことになるんだろうし……」 あの国に閉じ籠ったままでいられるはずがない。きっといつか、少年もまた旅の空に出て行くのだろう。 その傍らにはきっと青年の存在がある。離れられるはずがないし、考えもつかない。認めるのは少しばかり 悔しいが。 (その日を楽しみにしていますよ……) 果てのない旅に多少のスパイスは必要だ。次に出会う時は敵なのか、まかり間違って手を組むことになる のか。先のことはわからないけれど。それこそが人生だ。 「では、また、ね……」 ひまわりに声を掛けて、白鳳はその場を後にした。 |
ああ、季節外れなんですけど。不意に書きたくなったので。向日葵って、太陽に立ち向かう花ってイメージ持ってます。
自分が自分であることを誇示してるって感じで。で、向日葵に似合うのは青空で。ほら、セレ・カナになる。白鳳さんは雲…かな。
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