I am Free

「僕は冒険者になる」
 幾度もいった言葉をお前は本気で受け止めていなかったけれど、今度ばかりは本気で
受け止めたようだ。僕の覚悟を思い知ったか? どうせ、お前は気苦労だから、悩むん
だろうけれど。

 悩むくらいになら、行動に移せばいい。いざ、行動に移したら、お前は……。まぁ、僕も
煽ったようなものだし、この点については深くは追求しないでおこう。

 自由には責任が伴うことは重々承知している。泥水をすするような生活をするのかも
しれないことも、な。それでも、僕は僕の夢を諦められない。諦めたら僕は僕でなくなって
しまうんだからな。

 それは第三者から見たら、愚かで仕方ないのかもしれない。王宮での何不自由ない
幸福な毎日を捨てて、明日をも知れない冒険者だなんて、な。けれど、それでは僕は
呼吸一つでき
ない。僕が僕であるために、大切な人を傷つけてでも、守りたい夢がある。

 ついてきて欲しい、というのは本音だ。けれど、それを決めるのはお前で。僕じゃない。
お前が自分の意思で僕についてきてくれるんなら、幸せなんだろうな。ルーシャス様に
ロイがいたように、僕にもお前がいれば、と思う。それが叶わなかった場合は仕方がない。
道が違っただけなんだ、と思うしかない。

 僕が僕であるために、自由に笑っているために。僕の心は自由でいたい。閉ざされた
幸福な空間ではなく、明日の知れない開かれた世界へと。

 いつか、振り返った時に満面の笑顔を浮かべるために。僕は、僕自身の笑顔を掴んで
やる。僕が選んだ僕だけの夢を歩むために。


奥井亜紀さんという方のアルバムを聞いていましたら、この曲がありまして。そしたら、なんとなく話ができていました。
「いいじゃない、小さな夢でも 私がいつか自由に笑っていられるの」って歌詞がありまして。恋や色々なしがらみに縛られて夢を
捨てたくない、愚かなことかもしれないけれど、それは私の自由だから、って。そこから、思いつきました。

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